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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

“2024年問題”を目前に、より働きやすい環境を
千曲バス株式会社
1926(大正15)年の創業以来、県内東信地域を中心にバスを運行。現在はサービスの向上を図りながら、路線バス、高速バス、貸し切りバスなど“暮らしの足”を支え、地域の発展に努めています。
総務部次長兼事業部次長・篠原卓さんにお話を伺いました。
  • 職場環境を整え、若手の採用と定着を目指す

    現在、バス業界では運転手の高齢化と担い手不足が大きな課題となっています。当社では、職場環境を整え、より多くの若い人を採用し、長く働いてもらえることを目指してさまざまな取組を行っています。
    育児休業については、女性の取得率はもともと高かったのですが、10年ほど前、男性社員が1年間取得したことをきっかけに、周囲の理解が進み、取得する男性も増えました。今は、1、2カ月の短期間の人もいれば、3カ月ほどまとめて取る人もいて、それぞれの事情に合わせて柔軟に対応しています。

    女性乗務員の場合は、妊娠が分かった段階で事務職などの下車勤務に配置換えもしています。女性運転手は現在2人ですが、多いときは5人ほどいました。ここ最近は、業界全体としても増えてきていると感じています。
    また当社には、大型二種免許の取得支援制度があり、採用時は普通免許しか持っていなくても、入社後に免許合宿で取得ができるようにしています。実際に現在働いている女性運転手は2人とも、入社後の支援制度で大型二種免許を取って、“運転手デビュー”しています。

    総務部次長兼事業部次長・篠原卓さん
  • 心身の健康を高めることが、安全運行につながる

    現状は人手不足ということもあり、運転手には休日出勤をお願いすることもありますが、有給取得率は高く、100%使う人も多いです。シフト制で必ず土日祝日に休めるというわけではないのですが、各々がうまく調整して、有給休暇を組み合わせて連休にしている人もいます。「お互い様」という感じで、運転手同士が融通を利かせて、無理なく休めるようにしているのではないでしょうか。より柔軟に対応ができるようにと、有給休暇を半日単位で取得可能にしたことで、全体の有給取得率も上がりました。
    近年は、介護休暇の申請が増えてきています。今後、社員の年齢が上がるにつれて、親の介護が必要な人も増えてくるので、取得者も多くなっていくと思っています。

    私たちの仕事は、お客様を乗車地から目的地まで安全にお届けすることです。一昔前は、繁忙期は過酷で大変だったイメージもありましたが、今はそういう時代ではありません。心身ともに健康であることが良い仕事、私たちで言えば、安全な運行につながると考えています。当社では健康診断をはじめ、睡眠時無呼吸症候群(SAS)の検査や高齢の運転手には脳ドックの受診も勧めています。
    自動車運送事業の運転者不足に対応する取組の一つとして国土交通省が認証する「働きやすい職場認証制度」は一つ星、貸切バス事業者安全性評価認定制度は最高ランクの三つ星を取得しました。2024(令和6)年4月には、運転手の環境を改善するため労働時間の上限が引き下げられることなどが決まっています。いわゆる“2024年問題”にどう対応していくか。シフトの見直しを含め、社員にとって働きやすい環境づくりを進めていきたいです。