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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

自分の選んだ働き方で、思い描いた道へ進めるように
社会福祉法人梓の郷
社会福祉法人梓の郷は、介護老人福祉施設、住宅型有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、デイサービス、企業主導型保育所など松本市内に6拠点、12事業所で高齢福祉、保育事業を展開しています。法人本部の経営管理課長・高橋健太さんと、経営管理部の経営企画室室長・高橋優喜さんにお話を伺いました。
  • 選択肢を増やすことで、多様な働き方を実現

    高橋健太さん
    2021(令和3)年4月より内部体制を見直し、総務部から経営管理部に名称変更を行い、新たに法人本部を立ち上げました。そのタイミングで、さまざまな取組を始めました。特別養護老人ホーム「サルビア」のフロアの一部では、週休3日制を導入。週休2日と週休3日、勤務体制をどちらか選べるようにしています。きっかけは、働き方の選択肢を増やしていこうというところにあります。今のところは3分の1くらいの職員が週休3日にしていて、中には一度週休3日にしてみたけれど2日に戻した、という人もいます。その辺りも柔軟に対応しながら、一律ではなく、選択できるような環境を整えていければと考えています。
    私たちの仕事はシフト制なので、正職員は夜勤や早番など変則勤務になります。でも、お子さんが小さいときは難しいので、これまではしばらくパート勤務をして、子どもがある程度大きくなったら正職員に戻るという人が多く、キャリアが途切れてしまうことが課題でした。そこで、正職員のまま変則勤務を免除して働ける期間を設けたのが、「育児/介護スライド制度」です。お子さんが3歳から小学校3年生までは、8時~18時半のうち、8時間勤務できる場合は正職員という雇用形態を維持できるようにしています。

    高橋優喜さん
    同年、経営管理部に新たに経営企画室を立ち上げ、私は人材育成や研修を担当するようになりました。目指しているのは、キャリアパスに紐づいた研修体制の構築です。もともとキャリアパスはありましたが、ステップアップのために必要な知識や技術、どんなことが求められるのか、という点は明確にはなっていませんでした。それをはっきりさせて、研修を通じて提示するようにしています。職種が多岐にわたるので、テクニカルな面よりは、ヒューマンスキルに着目して、職員に共通して求めていることや、リーダーシップ、フォロワーシップなどに力を入れています。リーダーや、次のリーダー候補など、階層別の研修も行っています。これについてもベースにあるのは働き方の選択肢を増やすということ。「いずれはリーダーになりたい」「今は現場でこのまま頑張りたい」といったそれぞれの思いに応じて、目標を決めて働けるようにしていければと考えています。

    法人本部の経営管理課長・高橋健太さん(左)、経営管理部の経営企画室室長・高橋優喜さん
  • 先を見据えた取り組みが、働きやすい環境づくりにつながる

    高橋健太さん
    同じ時期に、キャリアアップアンケートも始めました。勤務したい施設や目指す姿、パート職員には正職員登用の希望はあるかなどを聞いて、配属の際の参考にしています。できれば、本人が前向きになれるような異動にしたいし、そうすることでモチベーションの向上や、ひいては離職率の低下にもつながるはず。皆の希望を叶えられるのが理想ですが、現実はなかなか難しいです。それでも、アンケートを取ったからには、なるべく反映させないと意味がありません。「せっかく書いても何も変わらない」ではなく、「思いを汲んでくれようとしてくれている」と感じてもらえるように、少しでもミスマッチを減らしていければと思っています。こういう取組が根付いていけば、自分の思いを伝えることに前向きになってくれる職員が増えていくのではないでしょうか。

    高橋優喜さん
    コロナ禍とも重なるので、取組の成果と言えるのかはっきり分かりませんが、離職率はこの3年でかなり下がりました。法人本部を立ち上げた時は、変化していく時代に対応できる組織づくりを進めるという意図があったと聞いています。離職率について具体的な目標を掲げていたわけではないのですが、結果的に、5年、10年先を見据えた取組が、働きやすい環境づくりにもつながったのだと思います。
    介護福祉業界は人手不足と言われ、人材確保も難しいのが実情です。介護福祉施設というのがどういう場所で、どのような仕事をするのか、具体的なイメージがわかないという人もまだまだ多いのかもしれません。各施設で日常の様子を紹介するインスタグラムを始めたり、小規模多機能型居宅介護施設「さんぽみち」に併設されたコミュニティスペース「よりみち」でイベントを開いたりと、外に向けた発信も積極的に行っています。別の職種の方や専門で学んでこなかった方などにも興味を持ってもらえるように、門戸を開いていきたいです。

    研修の様子