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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

日々の周知&法改正のタイミングでの推進、両輪で意識が浸透
長野県労働金庫
長野県労働金庫(長野ろうきん)は、勤労者のための金融機関として、利益を目的とせず、はたらく人が互いに助け合うという精神で発足した社会貢献性の高い金融機関です。現在、全国に13の「ろうきん」があり、「労働金庫法」という法律に基づいて、非営利を原則に運営をしています。
総務人事部業務役・大澤真哉さんと営業統括部課長代理・小口将也さんにお話を伺いました。
  • 取得する人が増えることで「取るの?」ではなく、取ることが当たり前に

    大澤さん
    育児休業については、制度や取得までの流れ、どのような準備をすればいいのかを紹介する全国の「ろうきん」共通のリーフレットを配布していて、今はその「長野ろうきん版」も作っているところです。また、妊娠が分かった段階で、なるべく早くから計画を立てられるように、聞き取りと制度の詳細についての説明を行っています。男性の取得率もここ5年で徐々に増え、昨年度は81%、今年度は同じくらいか、もう少し多いのではないでしょうか。「子どもが生まれるけどどうしましょう?」なんて話していたのは最初のうちくらいで、何人かが取得したら、一気に広がっていきました。取得する人は年代が近いことも多く、自然と情報交換も活発になっていった感じがしています。今は、「取るの?」ではなく「取るもの」という認識になってきていますね。

    いつ生まれるかはだいたい分かるわけですから、事前に所属長が把握して、周りも含めて計画・準備しておけば、慌てる必要はありません。取得日数についてはバラつきがあって、現状は1週間くらいが多いですが、2回に分けて取る人や、1カ月ほど取る人もいます。1日、2日という人は「それでは意味がない」ということで減りましたね。当庫では以前から年に1回、育児休業を取得している人を対象に「休職者ミーティング」を開いています。休んでいる間の不安や疑問を話したり、制度変更があった場合に紹介したりする場なので、今は長期で休みを取っている人、女性しか参加していません。でも、女性が1年休んで復職できるなら、男性も同じようにできるはずですよね。給与面など、まだまだ課題はありますが、将来的にはそうしていければと思っています。

    総務人事部業務役・大澤真哉さん
  • 妊娠が分かった段階から準備をしておけば、皆でカバーができる

    小口さん
    2022(令和4)年の秋に育児休業と、ほかの休みを合わせて1カ月半ほど職場を離れたのですが、実はその年の春に異動があり、まだ部署の業務にも慣れていないような状況でした。異動が決まった時点で、育休取得については伝えていました。部署は私を含め9人。所属長をはじめ、周りも皆、理解があり、協力してくれました。私が担当する業務の前任者が部内にいたこともあり、誰か1人に集中することなく、皆で少しずつカバーする形にできたことも良かったと思います。休暇に入るときも、前向きに送り出してくれました。

    私の場合、上の子がいたので、育休中に一緒に過ごす時間が増えたのは良かったですね。奥さんも赤ちゃんに集中できたと思いますし、復職の際は「もうお休み終わっちゃうの?」と言われました。たぶん、1カ月半でも1年でも、そう言われる気はします(笑)。それほど、子育ては大変ですから。でも、実際により長い期間休むには、育休中でもある程度、在宅勤務ができるようにするとか給料面でもより柔軟な対応が必要になるかと思います。日本ではまだまだ男女で収入格差があるので、あまり給料と育児を天秤にかけるようなことはしたくないですが、現実としてはやはり考えてしまいます。少しずつ、制度も変わってきているので、3年後、5年後になれば、男性もより育児休業が取りやすくなっているかもしれませんね。

    営業統括部課長代理・小口将也さん

男性の育児休業取得推進ポイント

やはり、職場内で少しずつ育児休業を取りやすい雰囲気を醸成していくことが大事だと思います。当庫では、以前から広報誌でお子さんが生まれたことや育休中の暮らしなどを紹介しています。そういうところで日々、じわじわと周知することと、法改正のタイミングで積極的に推進すること、両輪を意識しています。
(大澤さん)

いきなり皆が1年間の育休を取る、というのは難しい。1日、2日から1週間になったということは大きな進歩だと思います。もうしばらく時間はかかるかもしれませんが、取得した人がこれから“経験者”として上司になっていけば、より取りやすい雰囲気ができてくるのではないでしょうか。
(小口さん)