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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

育児休業取得をきっかけに、男性も子育てを「自分ごと」にしてほしい
木下建工株式会社
総合建設業として、土木・建築・設備工事のほか、測量、不動産など幅広く手がける木下建工。近年問題となっているインフラの老朽化についても、20年以上前から主に橋梁・トンネルの長寿命化工法の研究を進め、施工や補修を行っています。
取締役常務執行役員・小野澤昭司さんにお話を伺いました。
  • 「休むことをネガティブに捉えない」姿勢が、休みやすい雰囲気を醸成

    当社の社員は男性の比率が85%を超え、若手も多いということから、男性の育児休業取得については独自の取り組みを進めてきました。2017(平成29)年から、年次有給休暇とは別に、配偶者の産後の育児休業中に、最大7日間の特別有給休暇を付与。長期休暇とまではいえませんが、会社としては育休をきっかけに、子育てに対して「手伝う」ではなく、徐々に「自分ごと」として捉えることができるようになってもらえれば良いと考えています。
    20代半ばから後半は現場に出始める頃で、30代に入るとしばらく経って慣れてくる頃。いずれにせよ、上司である現場代理人がいるので、調整もしやすいようです。取得する側にとっても、「現場に負担をかけるので休みづらい」と感じることはほとんどないようですね。

    もともと当社は育児休業に限らず、有給休暇も含めて、休みを取りやすい雰囲気があるように思います。これは、社長の存在が大きいです。休むことに関してネガティブなことを言わないので、管理職も自然とその考えに影響され、社員にも伝わっているのではないでしょうか。
    休み以外では、協会けんぽ(全国健康保険協会)の「健康づくり チャレンジ宣言」を行ったり、健康経営優良法人の認定を受けたりと、社員の健康維持・増進に力を入れています。通常の健康診断に加え、勤続年数に応じた各種検診の追加にも対応。法人保険や職場つみたてNISAの奨励金など、さまざまな面で福利厚生の充実を図っています。社員が安心して、生き生きと働くことができる環境をこれからも整えていきたいです。

    取締役常務執行役員・小野澤昭司さん
  • 「子どもが生まれたら休む」を普通のことに

    実際に育児休業を取得した2人の男性社員にもお話を伺いました。
    施奇さんは2023(令和5)年の3月、渡辺幸大さんは翌4月に、特別有給休暇を7日間取得しました。

    施奇さん
    「周りの人たちも特別有給休暇を取っていたので、あまり意識することもなく自然と自分も取った感じです。休みの間は家で、退院した奥さんと一緒に家事や子どもの面倒を見ていました」

    渡辺さん
    「私はちょうど施さんが休みを終えて戻ってきて、入れ替わるくらいのタイミングで取得しました。その前から、特別有給休暇を取る上司も見てきたので、特に違和感もなかったです」

    施奇さん
    「これから先はまだ分かりませんが、子どもの入園式や何かイベントなどに合わせて、休みを取れればいいかなと思っています」

    渡辺さん
    「当社もそうですが、ほかの会社に勤める友人も比較的育児休業を取っている人が多い印象です。自分たちの世代だと、徐々に『子どもが生まれたら休む』ということが普通のことになってきているのかもしれませんね」

    施奇さん(左)と渡辺幸大さん

男性の育児休業取得推進ポイント

まずは「休む」と言える雰囲気をつくること。そして、それなりのインセンティブを用意することがポイントです。出産する女性とは違い、男性は分かりやすい変化はありません。だからこそ、何か後押しするようなものを考えないといけない。当社の場合は特別有給休暇を使えるようにしたことが良かったと考えています。
産後で大変なときに、夫婦が一緒にいることで、子育ての辛さも楽しさも分かち合ってもらえればいいなと思っています。
(小野澤さん)