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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

覚悟と志を持って入職してきた人と“一緒に長く働ける環境”を
社会福祉法人伊南福祉会
伊南福祉会は、1976(昭和51)年に駒ヶ根市・飯島町・中川村・宮田村の4市町村が母体となって設立。特別養護老人ホーム、老人保健施設、救護施設、訪問看護ステーション、グループホームを運営し、地域の高齢者や障がい者、医療支援が必要な方を支援しています。事務局長・常務理事の猿田孝弘さんにお話を伺いました。
  • 鍵となるのは「人材育成」。目標を持つことで、やりがいが生まれ、進む道が見える

    今はどこも人手不足と言われていますが、特に介護業界は大きな問題となっています。その解決のためには、入り口となる採用よりも、入った後の人材育成が鍵だと考えています。この仕事は「介護でもやるか」というような軽い気持ちで始められるものではありません。利用者が亡くなることもあるし、さまざまな問題を抱える方と接することもあります。決して楽ではないし、厳しいことも多い仕事です。そういう覚悟を持って、志してきた人の気持ちを大事にしたいし、モチベーションを維持してもらいたい。そのためにも、“一緒に長く働ける環境”が大きなポイントだと捉え、試行錯誤をしています。

    キャリアパスは提示していますが、今ちょうど現場の声を聞きながらより実態に即したオリジナルのものを作ろうとしています。リーダーになるためには何が必要か、足りないものは何か、といったことが具体的に分かるようにすることで、職員一人一人が将来どうなっていきたいかを共に考えていけることが理想です。私はスキルアップだけではなく、自分がやりたいと思っていたことができるようになったり、やりがいが増したりすることも成長だと捉えています。自分自身がどう成長していきたいのか、目標が持てれば、進む道が見えてくるはずです。
    現在は、年に2回程度、各施設で施設長と面談する機会を設けていて、やりたいことやキャリアについても率直に話せる場を作っています。中には「特にやりがいを感じない」「よく分からない」という人もいますが、そういうときは一緒に考えてみようと働きかけるようにしています。「ここでは私の夢は叶えられない」と言われて辞められたら仕方ない部分もありますが、「何となく違う」という理由での離職は、防いでいきたいと思っています。

    事務局長・常務理事の猿田孝弘さん
  • 制度を整えるだけではなく、急な休みにもフォローし合える環境づくり

    働きやすい職場というのは、制度を整えれば実現できるというものではありません。例えば「明日から休みたい」と言われた時に、施設長や中間管理職の立場であるチームリーダーがにこやかに応じられるか。人手に余裕がある職場であれば、そこで困った顔をせずに笑顔で返すことができるはずです。そのためにもやはり人が辞めない職場にしていかなければいけません。
    とはいえ、「ここで表情に出さないことが自分たちを救うことになる」と思っていてもつい…という気持ちはよく分かります(苦笑)。もどかしさもありますが、そこは何度も口酸っぱく言い続けるしかないですね。「明日から休みたい」と言われて、自分が代わってシフトに入るというのでは、「上司に迷惑をかけてしまう」ということで結果的に休みづらい環境を生み出してしまう。現状では、4、5人のグループで何とかフォローできる体制を作っていますが、もう少し人数を増やして10人前後にすれば、フォローもしやすくなるのではと考えています。

    本来は施設長だけではなく、中間管理職とも連携を図っていかなければならないと思っているのですが、この仕事は特に、中間管理職は皆さん現場に出ながら管理職業務を行う「プレイングマネージャー」です。勤務シフトがあるため、なかなか全員が一堂に介するということも難しい。時間を捻出するために、作業を簡素化して業務効率を上げることができればいいのですが、週3回行っていることを2回に減らす、というわけにもいきません。おそらくどこも、このような課題を抱えながら、何とか環境を改善しようとしているはずです。私たちも試行錯誤しながら、“一緒に長く働ける環境づくり”に尽力していきたいと思います。