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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

それぞれの事情に合わせて、働き方を“カスタマイズ” できるように
株式会社スギムラ精工
1980(昭和55)年、カメラ部品のプレス加工を請け負う“小さな町工場”としてスタートしたスギムラ精工。現在は、自動車の部品製造が事業の中心です。
総務部の杉村千加子部長と、中山知美さんにお話を伺いました。
  • “お互い様”精神で助け合う社風

    中山さん
    当社では、社員からの要望をもとに育児短時間勤務の期間を小学校入学年度の4月末までに設定しています。数年前までは、小学校入学までにしていましたが、お子さんが慣れるまでは本人も親も何かと大変ということで、社員の声も聞いて1カ月、延ばすことにしました。
    私が入社したときには、子どもが保育園に入って「慣らし保育」の時期だったということもあって、初めての出勤日を調整してもらいました。その後、コロナ禍で保育園に預けられなくなったときも、周りの皆さんがいろいろと協力してくれました。何かあった時は助け合う、“お互い様”精神を感じましたね。

    杉村部長
    現在、約80人の社員が働いていますが、10年ほど前は半数くらい、しかも女性は10人に満たないという状態でした。パート採用を積極的に進め、今は女性の方が少し多いくらいです。子育て世代の女性は、子どものことでどうしても急に休まなければならないこともあり、最初のうちは厳しい目で見る社員もいました。私たちから事情を理解してほしいと話をすることもありましたが、本人の働きぶりや仕事への真摯な思いが伝わったことで、徐々に「戦力」として認められるようになったと思います。
    当社では、パートや派遣から正社員転換する人も多いのですが、制度を推進するというよりは、「せっかくそれだけ働けるなら、正社員に」という自然な流れです。それぞれの社員が、それぞれの事情で、思うように働けない時期があるのは仕方ないこと。そういうときに話を聞いて、一緒に働き方を模索して、“カスタマイズ”していければと思っています。また全力で仕事に取り組めるようになったときに、頑張ってもらえればいい。会社と社員、そういうところも“お互い様”と考えていければいいですね。

    つるみね工場
  • 先を見据えて、しなやかな対応を

    中山さん
    男性社員の育休取得も少しずつ増えてきました。現在、社員の平均年齢は30代半ば。それより下、20代の社員がよりスムーズに取得できるように、上司や同僚の理解、仕事の方法の見直しなども進めています。上司の世代、特に男性は自分たちの時代にはなかったことなので、すぐには納得できない部分もあるかもしれませんが、少しずつ社員の理解が深まることで、「男性の育休取得=普通のこと」という認識が広まればと思っています。これまで1日、半日だった有給休暇は、2時間単位で取得できるようにしました。社員の働きやすさの向上と同時に、60歳以上の従業員の新規採用や外国人技能実習生の受け入れなど多彩な人材が活躍できる環境づくりに取り組んでいます。

    杉村部長
    2019年に工場を新設した際、総務部に「相談室」を設けました。社員の働きやすさについて考えるなら、まずは社員の話を聞くことが第一歩。駆け込み寺、ではないですが何かあったときに頼れる場所、話せる場所として用意しました。仕事のことだけではなくプライベートを含んだ相談もありますが、「話してすっきりしたので、明日からまた頑張ります」と気持ちを切り替えることができるなら、それでいいかなと思っています。
    創業者である前社長が自宅前に建てたプレハブ小屋からスタートしたこともあり、現社長が「いつか社員が温かいご飯を食べられるように」という思いを実現するため、工場新設の際に社員食堂も作りました。社員の幸せを第一に考える姿勢を、私たちも受け継いでいます。そうすることで、今度は社員がその思いを受け止め、仕事で応えてくれる。我が社の“お互い様” 精神をこれからも大事にしながら、これからの時代も、柔軟にしなやかに対応していきたいです。