中澤さん
ワーク・ライフ・バランスが叫ばれ、働き方について再考する機運が高まり始めた頃から、当社では時間外労働を削減するために「働き方改革宣言」を作成したり、「脳活休暇」を導入したりと、さまざまな取り組みを進めてきました。「脳活休暇」は、土日も含めて1週間以上の休みを取ることで、「非日常の体験をして心身のリフレッシュを図り、仕事にも良い影響をもたらす」という意味があるのですが、始めた頃は「長期休暇は申請しづらい」「休んでもやることがない」というような声がありました。そこで、補助金を出すなど取得に前向きになるようなきっかけを作ったり、休暇中の業務を部署内でうまく回せるよう働きかけたりしました。そうすることで、徐々に活用する人が増え、今では補助金がなくても、皆が取得するようになりました。規則や制度を定めるだけでは、なかなか定着しないこともあります。推進するためにはどうすればいいかを考え、段階ごとに取り入れていくことも必要だと感じています。
佐藤さん
さまざまな取り組みを進めるうちに、人に仕事をつけるのではなく、仕事に人をつけることの重要性がはっきりしてきました。一つの仕事を複数の人が把握し、共有できる状態があれば、休暇の取得や在宅勤務もしやすくなる。今、振り返ってみると、「脳活休暇」からそういう文化が醸成されてきたように思います。
あとは、部署や上司によってバラツキが出ないようにもしています。会社の規定や働き方のルールなどをまとめた「時間管理ハンドブック」を作成したのもその一つで、明文化することで何か判断する際の拠り所になるようなものを作り、不公平感が出ないように努めています。
中澤さん
当社は労働組合のほかに、労使で会社制度について話し合う「給与委員会」や、社長はじめ取締役と組合の執行部で開く「経営懇談会」があり、社員の声を聞いたり、情報共有したりする場になっています。実際に「時間管理ハンドブック」も組合と会社が共同で作りました。社員と共に話し合って制度を良くしていこうという風土は、当社の強みでもあると感じています。
これまで社員は地元出身者がほとんどでしたが、近年は県外出身者も増えてきました。すると、以前はあまり意識してこなかったようなこと、例えば弔事のルールなども、地元の人を前提に作られていたということに気付きました。昔からの慣習的な部分を一気に変えるのは難しいですが、社員の意見も聞きながら、改善を進めています。
佐藤さん
私たちの基本的な考え方は、「楽しいものは人と人とのコミュニケーションから生まれる」「自分が普段使っていない脳を使ったり、経験したりしたことを、人と共有することで新しい発想が生まれる」というところにあります。例えば在宅勤務制度では「実施ガイド」を作成しました。その冒頭には「コミュニケーションを重視するため出社を原則とする」とあり、そこを前提にして、以下の目的で在宅勤務を認めると続けています。会社としての考え方を明確にして、その上でそれぞれの状況に応じた働き方を認めている。それを社員に理解してもらいたいし、理解を促すための取り組みをしていきたいと思っています。これまで、社員にとって「働きやすい会社」を目指してきましたが、今はその先にある「働きがい」を重視したい。どうすれば皆がいきいきと働けるのかをこれからも考えていきたいですね。