企業・事業主の方

多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

「できるかできないか」ではなく「やるかやらないか」
シルクホテル 中田製絲株式会社
製糸業から始まった中田製絲。1973(昭和48)年に当時エリア初となる洋室ホテルとして「シルクホテル」を開業し、宿泊、レストラン、宴会、婚礼など幅広いサービスを手掛けています。
総支配人・勝又光伸さんに多様な働き方を推進するための取り組みについて伺いました。
  • 「クレド」という拠り所があることで、各々が判断できる

    当社では「クレド経営」に力を入れています。クレドは、従業員の拠り所となる、価値観や行動指針のこと。私たちは使命や目標、大切にしている15のバリューが書かれた名刺サイズのカードを常に携行しています。そして、お客様から何かお願いをされたときには、上司や先輩の判断を仰ぐのではなく、クレドに沿って対応しています。私が、以前リッツ・カールトンの日本支社長をしていた高野登さんと同級生という縁があり、倣(なら)って取り入れることにしました。内容は、社員が研修で2日間ワークショップをして決めました。最初のうちはうまくできるかな?と思いましたが、続けていくうちにそれが普通になっていく。各々が臨機応変に判断することでお待たせすることも減るし、何より目の前の人が真摯に対応してくれることは、お客様にとっても良いことですよね。

    また、所属や正社員、パートなどの枠を超えて「クレドチーム」を組織。「職場環境・能力開発」「危機管理」「アイサポート(手話)」などそれぞれのテーマを設けて活動しています。ホテルは勤務する時間帯が異なるとなかなか顔を合わせない人もいますが、チームがコミュニケーションの場にもなっています。

    総支配人・勝又光伸さん
  • 「やると決めたこと」を後押しできる企業に

    新入社員は従来、フロント、料飲、ウエディングなど部門ごとに採用していましたが、結婚式が減少したこともあり、バランスが取れなくなってきました。新入社員に聞いてみると、「どうしてもこの部署がいい」という人もいれば、「いろいろなことをやってみたい」という人もいる。そこで、2年前にゲストリレーションとして統合し、新入社員はさまざまな業務に就くようにしました。コロナ禍で、マネージャークラス以外の既存社員も対象にしたのですが、これが実際にやってみるとメリットがたくさんありました。例えば、これまでは他の部署の仕事、働き方を知らなかったのが、実際にやってみたことで理解が深まり、共通の認識が生まれ、社内の意識が統一されてきた。社員は心機一転、新鮮な気持ちで仕事に向き合える。そういう変化はお客様もどこかで感じるものなのか、予約サイトの口コミなどでホテルの評価も上がりました。

    コロナの影響で、休業のシフトを組むことになったときに全社員を対象にできたのも、前々から取り組んでいたからだと思います。休みが増えた若手社員からは「アルバイトをしたい」という申し出がありました。その働く意欲を重視しつつ、ほかで働いた経験をホテルにも生かせるようにしてもらいたいと考え、以前から取引のある地元スーパーと連携して、副業できるような制度を整えました。今の時代、ダメといって縛るのではなく、まずはやってみろと背中を押せる企業であるべきですよね。新たな取り組みは始まったばかりですが、その経験で本人がどう成長していくのか、周りにどんな影響を与えるのか、楽しみです。