企業・事業主の方

多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

「おめでとう」の後に、「いつ取るの?」という言葉が続くように
株式会社ミスズ工業
腕時計部品をはじめ、さまざまな精密部品を一貫加工体制で製造するミスズ工業。諏訪に本社を構え、箕輪町、岩手県北上市に工場を展開しています。CSR部 長野CSRG人事Tの係長・畑めぐみさんと、同総務Tの係長・久保田将士さんにお話を伺いました。
  • 男女問わず、育児休業の取得は“普通のこと”

    畑さん
    当社で初めて男性が育児休業を取得したのは2020(令和2)年度でした。その後、徐々に増えて2023(令和5)年度は5人、累計で9人が取得しています。もともと女性に関しては、育児休業取得や短時間勤務は“普通のこと”という雰囲気がありました。制度としてはもちろん男女の区別はありませんが、実際のところ、それだけではなかなか男性の育児休業取得は進みませんでした。「パパも育休を取得できます」と謳ったチラシを社内で配布したり、1人1人に説明する機会を設けたりして、少しずつ周知を図っていきました。地道な取り組みで理解が広まったこと、そして何より取得する男性が増えるにつれて、男性にとっても“普通のこと”という雰囲気ができつつあると感じています。

    お子さんが生まれるということが分かったら、まず人事担当者が制度の説明をします。どのくらいの期間で取得ができるか、分割方法や給付金制度なども伝えた上で、本人の意向を確認。そこから上司との面談や職場内の業務の調整を行い、正式に申請を出してもらっています。当社では、育児休業取得前後や、休んでいる間のことについて記入ができるツールがあり、必要に応じて利用できるようにしています。私自身も2度、育休を取得しました。復職前には面談で、これからどういうふうに働いていきたいか希望を伝えたり、職場の状況を確認したりしましたが、1年離れるといろいろ変化もあり、心配もありました。さまざまな方法でコミュニケーションを図りながら、男女問わず育児休業を取得する人が、不安を感じることなく働ける環境を整えていければと考えています。

    CSR部長野CSRG人事T係長・畑めぐみさん
  • 育児を「任せる」のはダメだと思えるようになった

    久保田さん
    2020(令和2)年の4月に1週間ほど、育児休業を取得しました。社内で男性の育休取得は私が第一号です。もともと制度については人事担当者が周知してくれていましたし、職場も取りやすい雰囲気、後押ししてくれるような体制があったので、スムーズに取得できました。私にとっても初めての子ども。さらに新型コロナウイルス対策で最初の緊急事態宣言が発出された頃だったということもあり、「子育ては大変」とは聞いていましたが、よりその大変さを実感しました。それを夫婦で共有できたことも含めて、貴重な体験ができました。

    育児休業を取得して、自分にとってもこの時しかできない経験ができたこと、そして何より育児を「任せる」のはダメだと思えるようになったことが良かったです。「取ってどうだった?」「何していたの?」など、社内外問わずさまざまなところで聞かれるようになりましたが、そう答えるとだいたい「やっぱりそうだよな」という反応が返ってきます。皆も本当は育休を取って一緒に子育てしたほうが良いということは、分かっているんですよね。今は、社内でも子どもができたというと、「おめでとう」の後には「いつ(育休)とるの?」という言葉が続くようになってきています。自分の後に続く形で、育児休業を取得する男性が増えていくといいですね。

    CSR部長野CSRG総務T係長・久保田将士さん

男性の育児休業取得推進ポイント

当社は2018(平成30)年に「くるみん」と「ユースエール」の認定を受け、現在まで更新しています。男性の育児休暇取得推進について力を入れるようになったのは、「くるみん」の認定基準がきっかけの一つでした。最近は就活生の皆さんも認定制度を知っていて、働きやすさのアピールポイントになっていますし、企業イメージの向上が、社員のモチベーションアップにもつながるので、目標にするのも一案かもしれません。(畑さん)

やはり、実際に取得した人の言葉は説得力があるというか、響くのではないでしょうか。「あの人が取ったなら、自分も取ろうかな」という感じでもいいので、まずは前向きに「取ってみよう」という人を増やすことが大事だと思います。(久保田さん)