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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

育児休業の取得は“良いこと”!何となく取りづらい雰囲気を払拭
ネクストリンクス株式会社
ネクストリンクスは、松本市と東京・千代田区に本社を構え、システム・ソフトウェア開発やITコンサルティングを手がけるITベンダーです。
2022(令和4)年7月、女性によるワーキンググループ「Wの会」が結成され、女性活躍推進に向けた活動を開始。その活動の中には、男性の育児休暇取得推進もあります。メンバーのうちの3人、勝田恵里さん、中村眞里子さん、下條弘絵さんにお話を伺いました。
  • 男性の育児休業取得率全国平均を上回ることを目標に、まずは周知を

    勝田さん
    「Wの会」は、女性活躍推進法の改正を受けて、部署を横断して集まった女性で立ち上げました。ちなみに「W」には、女性(woman)だけではなく、一緒に(with)、健康(wellness)、風通しの良さをイメージした風(wind)などの意味も込めています。
    結成した当初、メンバーで「会社を良くするために何かできるか」を話し合いました。最初は社内美化から始めて、次に考えたのが、さまざまな制度をもっと社員に分かりやすく伝える工夫をしよう、ということでした。制度はあっても、社員がそれを理解して使っているとは限りません。そこを私たちで整理して、周知していく必要があると考えました。

    下條さん
    まず着目したのが育児休業制度です。メディアでも男性の育児休業取得率が話題になっている中、「Wの会」発足の前年度(2021年)において民間企業に勤める男性の育児休業取得率が13.97%と知り、この数値を上回ることを中長期的な目標に決めました。
    ほかの企業はどうしているのだろうと、知り合いの会社の様子を聞いたり、積極的に取り組んでいる企業を訪問したりして、情報を収集。そこで重要だと感じたのは、育児休業を取得することが良いことだ、と思ってもらえるような環境や雰囲気をつくっていくことです。
    訪問した企業では、育児休業の取得ガイドを作成したり、社内用のポータルサイトや冊子で育休中の人の過ごし方を紹介したりと、制度に対する理解を進めるさまざまな工夫をしていました。

    中村さん
    その頃、ちょうど子どもが生まれるという男性社員がいたんですが、育児休業は取らなかったんです。理由を聞くと、「ほかの人に迷惑をかけてしまうんじゃないか」「自分のキャリアや評価に影響があるんじゃないか」という不安を抱いていることが分かりました。もちろん、実際には、キャリアや評価に影響はありません。にもかかわらず、なんとなくそう思っている雰囲気がある。そこを変えなければいけないし、そのためにまずは制度を正しく理解してもらうことから始めようということになりました。

    「Wの会」メンバーの中村眞里子さん(左)、下條弘絵さん(オンライン)、勝田恵里さん
  • 誰もがフラットに話せる「Wの会」。これからも会社を良くするために

    勝田さん
    制度では、同じ休みといっても、有給休暇と育児休業は別々に規定されています。それを分かりやすくするために、社員の目線でまとめてみることにしました。例えば、3歳の子どもがいる場合はこういう制度が利用できる、というふうにそれぞれの段階で一覧できるようにしておけば準備もしやすくなるはず。今、まさにそのリンク集のようなものを作っているところです。

    中村さん
    当社では年2回、キックオフ全体会議があり、総括や次期目標の確認、成果発表の場になっています。2023(令和5)年秋の会議の際に、「Wの会」として今取り組んでいることを紹介しました。それを知った男性社員から、「ちょっとみせてもらえますか?」と、後日問い合わせがありました。育児休業を取得しようとしていたようです。少しずつ周知が進んでいるのだと感じて、嬉しかったですね。

    下條さん
    「Wの会」を立ち上げたときは「今も頑張って働いているのに、女性活躍ってどういうこと?」と正直、反発心のようなものもありました(笑)。でも、せっかくの機会だから、と皆で前向きに取り組んできた甲斐あって、1年ちょっとで実際に育児休業を取得する男性社員が出てきたのは良かったと思います。まずはこのまま、育児関係のことを重点的に進めて、その先はまた、皆で話し合いながら決めていきたいですね。「Wの会」の良いところは、誰もがフラットに話せるところ。これからも「会社を良くするためにできること」を皆で考えていきたいです。

男性の育児休業取得推進ポイント

最初にヒアリングをして課題を把握できたことが、次のアクションにつながりました。「育児休業の取得=良いこと」と捉えてもらえるようにするという目標が明確になった。そこからまず周知をして、価値観を徐々に変えようというステップをメンバーで共有できたことが良かったと思います。
(勝田さん)