西尾さん
当社の取り組みは法律の改正や時流に合わせて、親会社のジェコーとも連携しながら、制度化しています。例えば、年次有給休暇の積み立てができる保存休暇制度は1992(平成4)年に制定。病気の治療のほか、リフレッシュや自己啓発などに使う人もいます。私も制度を活用して、長野オリンピックと東京オリンピックにボランティアとして参加しました。親会社では自転車日本一周をすると言って取得した人もいるそうです。
保存休暇制度もありますが、年次で有給休暇の取得を促進する取り組みも行っています。年度始めには、社員がそれぞれ年間計画を出します。これは、その通りにしなければいけないというわけではなく、目安程度のものですが、事前に計画を立てておくことで、実際に取得しやすくなっているように思います。
蓮池さん
会社としては有休取得率を上げるためには、誰かが休んでも対応できるような体制を整えておく必要があります。親会社の方では欠勤対応を行う社員を配置していて、当社もいずれはそのような形になっていくかもしれません。
育休については、女性の取得率は100%近くで、出産を機に退職するという人はほぼいません。男性は最近でいうと、対象者がいないこともあって、取得には至っていないようですが、法律が新しくなると、その都度総務の方から説明を行っているので、今後は取る人が増えるのではないでしょうか。
西尾さん
休んだ人の分をどうやってカバーするかは、ラインを止めるわけにはいかない製造業にとっては共通の課題です。その一つの方法は、業務効率を上げること。当社では、IT化やロボット導入など生産技術革新による省力化、そして工程内不良を極小化することで、手戻り仕事による労働時間の削減を目指しています。これは、機械だけではなく人力の部分も大きいです。機械によって生産性が上がったとしても、何かのミスによって不良が出れば、納品先に謝りに行ったり、報告書を作成したりという作業が発生します。そういう「マイナスの仕事」を減らし、品質向上など「プラスの仕事」に注力できる環境を整えていきたいです。
人力の部分で言えば、社員教育も欠かせません。当社には、各社員が自分の目標を決めるコミュニケーションシートがあり、目標達成に向けて何をするのかを自らも考えますし、上司もアドバイスします。年2回の面談では、進捗報告だけにならないように、仕事上で意識している「こだわり活動」を振り返るなど、今のことと将来のことを遠慮なく話せるように心がけています。
蓮池さん
現場では、日頃感じる小さな「困りごと」を把握できるよう、気になることをシールに書いて貼り出せるシートを設置しています。シールを貼ると、上司がそれに対して「何月何日までに改善する」と応じます。社員からの声だけではなく、対応についても目に見える形にしたことが良かったのか、試しに始めた取り組みが徐々に広がり、ほかの現場でも導入されました。
「働き方改革」というと、有給休暇の取得や残業時間の削減などに目がいきがちですが、普段の業務に安心して取り組めるような職場環境づくりも大切ですよね。当社でも安全最優先を掲げ、フォークリフトと人の動線を分けるなど、厳しく管理しています。働く人の安心・安全を守ることで、多様な働き方を実現していければいいと思います。