私が入社した1980年代は、遅くまで働き、家に帰っても子どもの寝顔しか見られないという日々でした。今、振り返ってみても、まともな働き方とは言えないですよね。どうやって改善していけばいいかを考えた時に思い当たったのは、業務中の「無駄な時間」。私たちの仕事はある程度、現場に出ている人たちの裁量に委ねられているところがあります。各々が工夫すれば、いくつか現場を抱えながらも、工期に間に合うような配分をして、メリハリのある働き方ができるはず。「残業するな」「早く帰れ」と言うよりも、「早く帰る日」を決めてしまえば、各自が調整できるのではないかと思いました。
現在は、水曜日をノー残業デーにしています。最初のうちは正直、不安もありましたが、週休2日制導入のときも「土曜日に働かなくても大丈夫?」と言っていましたから。思い切ってやってみれば、意外とスムーズにいきました。もう2年以上になりますが、実際に制度として定着してくると、「早く帰ること」のメリットを社員自身も分かってきたと感じています。
当社には災害復旧活動という、地域の皆さんの暮らしにかかわる使命があります。地域に生きる建設業として、果たさなければいけない責任があります。地域の皆さんが困っているときには、一刻も早く復旧させないといけない。そういう“頑張りどき”には、一致団結できるように、夕食やお菓子の準備をして、コミュニケーションを図る場を設けるようにしています。
「災害時に強い」というのは当社の企業文化。県内各地、災害が発生した際に頼られる会社でありたい。社員一人一人にも、そういう意識が根付いているのではないでしょうか。
当社は公共事業が中心ということもあり、国家資格が重視されるため、資格取得の支援も行っています。資格がなくても働くことはできますが、それではずっと誰かの下について、言われたことをするだけになってしまい、仕事の面白さは感じられません。責任を負うことは大変ですが、やりがいになるし、何より「自分の名前を残せる仕事」をしてもらいたいという思いがあります。ただ、会社ができることはあくまで支援。社内で勉強会を開いたり、講習会に参加する費用を負担したり、できる限りの後押しはしていますが、最も大事なのは本人の努力です。仕事と勉強を両立しながら、皆、頑張ってくれています。
奨学金返還支援も今年度から始めました。若い人にとっては、仕事の内容ややりがいが一番だとは思いますが、会社がさまざまな角度から応援しているということが伝わっていると良いですね。今はどこも同じかもしれませんが、私たちは技術職なので、次世代の担い手の確保が重要課題です。測量の専門学校や大学の土木工学科が減る中、人材確保と育成には積極的に取り組んでいます。
ときどき、社員に甘いかも?と思うこともありますが(笑)、離職率が低いということは、こちらの思いを社員が汲んでくれているのかもしれませんね。会社の財産は、社員のやる気と能力。私が1人で頑張っても、できることはたかが知れています。社員が働きやすい職場にしていくことは、私の仕事です。
女性技術者もまだまだ少ないとはいえ、徐々に増えています。今後、柱となってくれる人が出てきて、周りを引っ張っていってくれるのが理想です。当社ではユースエールをはじめ、さまざまな認定を受けていますが、これはそのためにやったわけではなく、さまざまな社員が働きやすい環境づくりを行ってきた結果だと思っています。