当社は男性が多い建設業の中で、10年ほど前から女性ならではの視点で個人の能力や希望を尊重した働き方改革に取り組んでいます。現在女性従業員は31人で事務職が主ですが、5人の女性が現場でも活躍。出産・育児を迎える現場の女性は、無理なく仕事が続けられるように、事務職や営業職、または図面を書く設計や、積算を行うなど建設業の知識を使った仕事への配置転換を行います。そして、子どもが大きくなったら現場への復帰も可能。また、子どもが小学校に入学するまでには、育児のための時短勤務、保育園送迎などに合わせた勤務時間の繰り下げなどができる体制を整えました。
「社員の心と体の健康が最も大切」という考え方に基づき、2011年に「心の健康づくり計画」を制定しました。社内にメンタルヘルス推進担当者を選任し、相談窓口を開設。社員がメンタル不調になる前に相談窓口を利用し、医療機関などの支援を受けるなどすることで、メンタルヘルス不調の未然防止に力を注いでいます。また、毎年、従業員50人未満のすべての事業場においても、労働安全衛生法に定められたストレスチェックを実施し、高ストレスの結果が出た場合も指導を行うことで、以前に比べてメンタル不調による離職率も低下しました。
体の健康については年に1度の健康診断を行い、保健師との健康相談を実施。さらに再検査の受診を支持しているため、有所見率が2016年度は74%だったところが2019年度は20%代にまで改善されました。これにより健康経営優良法人にも認定されています。メンタルヘルスのケア、健康診断ともに正規社員だけでなく非正規社員も受けることができます。
当社では、正規社員のほかに、中途採用などの条件つきの現地採用を行う契約社員、「雇員」と呼ばれる時間給の非正規社員が活躍しています。「雇員」は申し出により、人事評価を行って、正規社員への転換も可能。すべての従業員が無理なく、そして積極的に働ける環境をつくっています。
社員は地元出身者が多いですが、移住支援金の支給対象求人を掲載し、大阪からのUターン者の中途採用を行いました。建設業は特殊な仕事であるため経験があればどこでも活躍できるので、今後はUターンだけでなく、Iターン希望者の採用にも力を入れていきたいです。
現場の就業時間をいかに短縮するかが課題です。現在当社で進めているのは、当社の事務で働く従業員の仕事をAIにより簡略化し、空いた時間は請求書などの書類作成や現場写真を並べ替えてタイトルを付けるなど現場の事務仕事を手伝うように計画しています。現場からの指示も電話やメールで簡単にできるので、現場の就業時間も従前よりずいぶん短くなると期待できます。また、これからはWEB会議システムの積極的な活用により、会議や打ち合わせなどのための移動時間削減や、現場間や拠点間の距離を感じさせない業務のあり方を検討し、実施していきたいと考えています。