企業・事業主の方

多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

制度を活用する事例を増やすことが、次の一歩を後押しする
ジェイエスピー株式会社
1988(昭和63)設立の独立系ソフトウェア開発会社・ジェイエスピー。業務アプリケーションの提案から、設定・開発・運用支援、制御系ソフトウェア、パッケージソフトウェアの開発などを主に行っています。
総務部課長の稲田葉子さんにお話を伺いました。
  • 具体的な取り組みをメッセージとして発信したい

    非正規社員から正社員への雇用転換は、3、4年前に始めてこれまで3人が正社員になりました。有給休暇の取得推進については、半日取得を可能にしたり、営業日数が多い月は、有休取得推進月間として呼び掛けたりして、あまり休まない人に対しては、取得を促すようにしています。社員は、同じ部署に所属していても、客先に常駐することが多いので、実際の作業場所は異なります。週次報告を行うことで、どこにいてもリーダーが状況を把握できるようにしています。

    心掛けているのは、「社員を大事にしています」という言葉だけではなく、具体的な取り組みをメッセージとして発信すること。健康診断の受診率は現在100%で、会社としては健康経営優良法人を目指しています。ただ、これは認定を受けることが目的というよりは、取り組みを進めることで、「社員の健康を第一にしている」ことが伝わると思っているからです。個人に合わせた柔軟な対応ができることは私たちのような中小企業の強みの一つなので、それを活かしながら、一人一人が快適に働ける環境を整えていきたいと考えています。

    総務部課長・稲田葉子さん
  • 時差出勤制度を活用して大学院を修了

    私はこの春、大学院を修了したのですが、その際に時差出勤制度を活用しました。授業は18時開始。最初の1年間は少し遅れて行っていましたが、ふと、「時差出勤が使えるかもしれない」と思い、申請をしました。学びたいと思ったきっかけの一つに、「このまま働き続けて何ができるだろう」という漠然とした不安を解消したいという気持ちがあったので、「自分自身で頑張らなきゃいけない」と気を張っていたのかもしれませんね。
    令和元年東日本台風(台風第19号)の際、社員の安否確認をする術がなく、「そういうシステムがあったらいいのでは」と提案して、32年目にして初の自社開発製品として、プロジェクトが立ち上がりました。その際に、システム開発とは別の部分、例えば分析や検証、ビジネスモデル作りや、収益予測を立てるという点で、大学院で学んでいることが非常に役に立ちました。社内に高い技術力があるということを再認識することもでき、安否確認システム「カナリアらーむ」として製品化もできました。大学院を受験するときには、研究がこんなに当社の業務とつながるとは思ってもみませんでした。先生からは「小さな会社の大きなイノベーションだ」と言ってもらえて、うれしかったです。

    今まで論文を書いたこともなく、仕事と家庭の両立にさらに学業が加わったことで、時間のやりくりも大変でしたが、目に見える形で結果が残せたことは良かったと思います。現在は、「カナリアらーむ」を使い、従業員の体温管理やアンケート回収といった、災害時以外でも活用できるような提案を進めています。働きやすい環境を整備した一つの成果として、今後につながればと思いますし、さらには、総務の私が率先して時差出勤の活用事例を作ったことで、後に続く人が出てくることにも期待しています。

    安否確認システム「カナリアらーむ」