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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

制度を整えるだけではなく、使ってもらうための“仕掛け”を考える
株式会社土木管理総合試験所
社会インフラの品質に関わる調査・試験をはじめ、環境汚染や自然災害に対するコンサルティングを手がける株式会社土木管理総合試験所。長野と東京に本社を構え、全国に拠点を展開しています。管理部門の下平絵里加さんにお話を伺いました。
  • 特別なことよりも、小さなサポートの積み重ねを意識

    当社では、2025年の法改正よりも前から「小学3年生までの子どもを持つ社員の短時間勤務制度」を整備し、テレワークの導入も進めてきました。また、女性管理職を中心としたプロジェクトチームを立ち上げ、男女を問わず仕事と家庭を両立できる環境づくりに取り組んできました。こうした継続的な取り組みにより、社員が必要だと感じたときに遠慮なく制度を活用できる雰囲気が、社内に広がってきていると感じています。

    社内には育休に限らず、何か困ったことがあれば、気軽に相談できる窓口を設置しています。育休に関する相談は多くはありませんが、「取得に向けてどんな準備が必要か」「パパ・ママ育休について詳しく知りたい」などの質問が寄せられています。
    復職については、原則として元の部署に戻ることを前提とし、育休中も上司が部署の状況を共有し、コミュニケーションを保つことで、不安なく復職できるよう配慮しています。人事も復職前に上司と連携して準備を進め、スムーズな復帰につなげています。こうした「小さなサポートの積み重ね」が、安心して育休を取得し復職できる土台になっていると考えています。

    管理部門の下平絵里加さん
  • 細やかな配慮が、活用される土壌をつくる

    当社では、産後パパ育休が創設されて社内外で広く周知され始めた2023年頃から、男性社員の育児休業取得が増えてきました。取得期間は1~2カ月の短期から、半年~1年といった長期までさまざまです。また、一般社員だけでなく課長職などの管理職でも育休を取得しており、立場に関わらず利用しやすい環境づくりが進んでいます。
    以前は、男性の育休取得に対して否定的にとらえる声も一部にはありました。しかし、事例が増えたことで「取得すること自体が特別ではない」という認識に変わり、今では“育休中の業務を組織としてどうカバーするか”という前向きな議論が中心になっており、育休取得を自然な選択として受け入れる風土が根づきつつあります。

    育休に限らず、制度や仕組みを整えるだけでは、実際に活用される土壌は育ちません。「使いやすさの工夫」「利用を後押しする仕掛け」といった視点を持ちながら、制度の運用と文化醸成を並行して進めることが重要だと考えています。
    そのため、当社では時差出勤制度を導入する際に説明会を開催し、具体例を交えながら社員が迷いやすいポイントを丁寧に解説しました。育休に関しては説明会を開かずとも取得が進んでいますが、今後は育休を取得した男性社員へのインタビューでリアルな声を紹介するなど、より前向きに活用を促す取り組みも検討しています。

男性の育児休業取得推進ポイント

私自身も、産休・育休を取得した経験があります。振り返ると、取得期間や給与など、さまざまな不安を抱えていました。その一つ一つにどう寄り添い、フォローできるかが重要だと思います。
子どもの成長は本当に早く、限られた時間を一緒に過ごせる経験はかけがえのないものです。社員それぞれの希望は異なりますが、できる限り寄り添い、望む形をかなえられるよう今後も取り組んでいきたいと考えています。