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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

育休を取得した社員の声の中に、次の一手のヒントがある
株式会社青木固研究所
株式会社青木固研究所は、ペットボトルをはじめとするプラスチック容器を作る機械と金型を製造・販売する機械メーカーです。総務部課長の田中進さんと副主事の北澤希美さんにお話を伺いました。
  • 男性も女性も、育児に関わることが当たり前に

    北澤さん
    当社の社員は男性が約170人、女性が約30人という構成で、8割以上が男性です。男性の育児休業取得促進については、法改正があった時に周知したり、相談窓口を案内したりしてはいますが、特別に何か対策をしたかというと、あまりそういう意識はないんですよね。
    それでも自然と、取得する人の数は増えてきています。現在の男性社員の育休取得率は8割ほどで、昨年は10割でした。期間はそれぞれで、短ければ1カ月、長ければ半年くらい。それぞれの家庭の事情に合わせて、希望する期間で育休を取得できるようになっています。

    田中さん
    ただ、あらためて振り返ってみると2021年に育休を取得した20代の男性社員がちょっとした転機だったのかもしれません。彼はまず2カ月休んで、その後2カ月は出社して、また10カ月休むという分散する形で、トータルとして1年間の育休を取得しました。その頃はまだほかに事例がなかったので、当時の上司は戸惑いもあったかと思います。それでも部署内で業務の引き継ぎやフォロー体制を整えた結果、彼は育休取得から、スムーズに復帰ができた。その事例は他の社員の参考になったと思います。
    育休を取得する人が増えたことで、社内の雰囲気も変わってきました。例えば朝、子どもが熱を出して急に休むことになったり、保育園から迎えに来てほしいという連絡があったりしたときに、男女問わず「お大事にね」と送り出すことが日常的になっています。以前と比べて、男性もしっかり育児に関わることが当たり前になってきているのではないでしょうか。

    総務部副主事の北澤希美さん
  • 子育てを通じて、“時間管理の意識が高まった”という声も

    北澤さん
    今回のインタビューに合わせて、実際に育休を取得した男性社員にアンケートを取りました。すると「制度があっても、実際に長期間育休を取得していいのか」と迷ったり、「復帰後に今まで通りの部署に戻れるのか」と心配したりしていた社員が、過去の事例を知ることで安心できたという声もあり、やはり事例を知ることが不安の払拭することになっているのだと思いました。
    また、総務部で育休に関する制度について周知していることが、育休取得を推進していると受け止めてくれていることが分かりました。先ほども言いましたが、私たちとしては特別なことはしている意識はないのですが、制度についてきちんと伝えることが育休取得推進の第一歩になるのかもしれないですね。

    田中さん
    男性社員の育休取得は、年代が上の人にとっては「自分たちの頃とは違う」という感覚も正直あったかと思います。ただ、こちらから特に働きかけなくても、それぞれが今の時代に合わせて認識をアップデートしてくれています。
    今回、アンケートを取って興味深かったのは、2回の育休取得を経て、「時間の使い方をより強く意識するようになった」という男性社員です。子育てをする中で、「わずかな時間の中でもできることはないか」「今の自分の動きが、この先どう影響していくか」ということを考えて行動するようになったこと、そして後輩にも時間の使い方についてアドバイスをしていることが分かりました。子育てをすることで時間管理に対して高い意識を持つ人が増えれば、組織全体にとっても良い影響を与えてくれると思います。

    総務部課長の田中進さん

男性の育児休業取得推進ポイント

アンケートから、各部署で創意工夫して、子育てと仕事の両立に向けてさまざまな配慮をしていることも分かりました。復職の際には事前に総務部も面談をしているのですが、それだけではなく部署でOJTの実施や、復職後も出張や残業について希望に応じた対応をしているとのこと。アンケートの言葉には多くのヒントがあったので、時々取ってみるといいと思いました。(北澤さん)

現状では、育休を取得する人に比重が置かれていますが、今後は、送り出す側の人、フォローする側の人についても、どう受け止めているのかを把握していくことが、育児休業取得推進の鍵になると思います。育休を取得する人、送り出したりフォローしたりする側の人、どちらの思いも社内で共有できる仕組みを作っていければいいですね。(田中さん)