荻野さん
取り組みの中で最も力を入れているのは、社員のキャリア形成です。半期に一度、社員が目標を設定する機会があり、業務のことだけではなく、中長期のキャリアについてもシートに記入しています。「3年後にはどうなっていたいか」「そのために自身は何をするべきか」ということに加え、「会社にどのようなサポートをしてほしいか」ということも社長や上長と話して共有しています。
スキルアップの支援も積極的に行っています。資格の取得や教材の購入、研修への参加については会社が全額負担し、やりたいことができる体制を整えています。内容は、品質管理やマーケティング、簿記のほか、ボールペン字といったものまで多岐にわたります。最近は入社3年目の若手社員から、シーケンス制御の研修に参加したいという希望がありました。私も今、下崎さんと一緒に「女性リーダー研修」を受けて、学んでいるところです。
下崎さん
当社では毎月、月次決算が全社員に配られるのですが、私はそれをもう少し理解できるようになりたいと思って、簿記を勉強して、資格も取得しました。社員がそれぞれ、どんな資格を取ったのか、どういう研修を受けているのかが分かるようになっているので、それが刺激になって「自分も頑張ろう」と向上心を持つ人も多いです。
会社としては、急いで成果を求めるのではなく、数年後を見据えてくれているのだと思います。社員一人一人の視野が広がることが大事だと考え、各自の関心や業務に応じてチャレンジすることを後押ししてくれています。
下崎さん
有給休暇の取得推進や、残業時間の短縮についても取り組みが進んでいます。有給休暇は6、7年ほど前までは半日単位でしたが、現在は2時間単位で取得ができるようになりました。昼の休憩とつなげることもできるので、各々の事情に合わせて柔軟な活用が可能です。私も子どもが小学生の頃は、学校行事や家庭訪問があったので、2時間単位で取得できてとても助かりました。現在は、親の介護のために活用しています。
当社では、休みの理由を貼りだして、皆が分かるようにしています。詳細に書く必要はなく、「私用」でもいいのですが、「子どもの行事」や「歯医者」などと書いてあるのを見ると、「自分も気軽に休んでいいんだ」と思えて、それが有給休暇の取得促進に一役買っているように感じています。
荻野さん
残業は申請制で、理由を記入してもらいます。月末には残業時間と理由を一覧にして出して、同じ理由で残業が繰り返されていれば、部門内で業務の改善を検討。繁忙期はなかなか難しい面もありますが、それでもここ数年は月平均15時間未満で推移しています。
創業100周年迎えた2019年に、地域の方や社員の家族を招いて「工場祭」を初めて開きました。以降、コロナ禍以外は毎年開催していて、工場内の見学や、ポールの端材を使ったワークショップを行ったり、地元の中学校や高校の吹奏楽部やダンス部にパフォーマンスを披露してもらったりしています。今年はあいにくの雨でしたが、700人近い方にお越しいただきました。地域の皆さんとの交流の場、そして社員にとっては家族に職場を知ってもらえる場にもなっています。
ほかに、社員やその家族が、当社の製品を使ってアウトドアを楽しむ際に交通費を補助する「そとあそび支援制度」もあります。今後も地域の皆さんや社員の家族とつながれる機会を増やすことで、社員が働くことの楽しさや、やりがいをより感じられるようにしていきたいと思っています。