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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

地域の皆さんに安心安全を提供するために、社員が安心して働ける環境づくりを
株式会社全日警サービス長野
長野県を中心に8カ所に拠点を構え、地域のお祭りやスポーツイベントの警備、交通誘導など、さまざまなシーンで“縁の下の力持ち”として幅広いニーズに応える株式会社全日警サービス長野。代表取締役社長の浅妻豊さんにお話を伺いました。
  • 業界全体で労務単価の適正化に取り組んだ結果、手厚い福利厚生を実現

    警備というのは、皆さんに安心安全を提供する仕事です。なので、その仕事に就いている人が安心して働ける環境を整えることは、大前提だと考えています。私は働き方改革が社会全体でうたわれるようになる前から、業界の課題と正面から向き合ってきました。安い単価で受注すれば必然的に社員の福利厚生も整わず、給料も上げられない。まず取り組んだのは、労務単価の適正化です。業界としても発注側の価格競争が原因で、社員の処遇改善を進めることができず、悪循環に陥っていました。これを業界全体の問題と捉えて、私が理事を務める県警備業協会で協議を重ね、同業者と協力体制を築きました。本音をぶつけ合う中で、正直、大変なこともありましたが、今では他の都道府県と比べても最もまとまりのある団体になったのではないかと自負しています。

    健康で長く働いてもらいたいという思いから2020年より健康経営の取り組みを実施しています。当社では健康診断で要検査や要治療となった社員に対して、再検査を促すだけではなく“後追い”をします。再検査をして、健康面に不安がないことを確認するまでは仕事に復帰させません。場合によってはこちらで病院の予約を取ってまで行かせることもあるくらい、徹底しています。ほかに、三大疾病保障保険への加入や、禁煙外来の費用負担、婦人科検診の補助なども行っています。昨年から2年連続で認定を受けている「健康経営優良法人(中小企業法人部門)ブライト500」を継続していくことを一つの目標にしています。

    代表取締役社長の浅妻豊さん
  • 警備に必要なのは、体力ではなく危機管理に対する想像力

    警備というのは、危機管理に対する想像力を持つことが大切で、体力があればいいという仕事ではありません。当社では定年を延ばし、第1定年を65歳、第2定年を70歳に設定。現在、交通誘導の現場に出ている常勤者の最高齢の社員は82歳です。再雇用だけではなく、63歳までは新規正社員登用も行っています。まず1年やってみて、続けられそうだったら登用試験を受けてもらい、正社員採用をしたという人もたくさんいます。障がい者雇用も積極的に進めています。
    私は個人的には、警備の仕事は女性のほうが向いていると思っているのですが、まだまだ警備=肉体労働、と思っている人が多いですよね。そのイメージを払拭したいと考え、2023年の秋、「チームマドンナ」という女性警備員チームを結成しました。忘年会では衣装からメイクまで会社が負担し、各拠点の代表者にランウェイウォーキングをしてもらうファッションショーイベントを開催しています。現在、当社の女性社員比率は業界平均を大きく上回る17~18%で、女性管理職比率も40%に達しています。今後も、高齢者も障がい者も、女性も若者も、誰もが安心して働ける環境を整えていきたいです。

    近年はSDGsの観点から、再生可能エネルギーの地域活用に取り組んでいます。本社屋上にソーラーパネルを設置し、約3分の1の電力を自家発電で賄い、残りは地域に供給しています。蓄電池も設置し、災害時には近隣の方々に電力を提供できるよう外部コンセントも設置しました。「もしもの時」は起こらないに越したことはありません。ただ、起きてしまった場合に、被害を拡大させないこと、なるべく早く地域に安らぎを取り戻すことは、警備会社の使命だと考えています。
    企業は自社の利益だけを追求する時代ではありません。社員皆の夢を当社を利用して叶えてくれればいい。やりたいことがあったらどんどん言ってほしいと、常々社員には伝えています。そうして一人ひとりが輝けるような環境を作り続けていくことが、経営者としての役目だと思っています。

    2023年に行われた「チームマドンナ」ファッションショー