池内さん
当社では、子どもが3歳以上でも時短勤務ができるようにしています。以前から、個別の相談を受けた時には柔軟に対応してきましたが、社員それぞれの家庭の事情に可能な限り寄り添いたいと考え、2023年に規定を改めました。有給休暇も半日単位で取得が可能で、子どもが急に具合が悪くなった時や、学校行事への参加する時などにも活用できるようにしています。男性の育児休業取得については2022年頃から徐々に増えてきた印象です。社内のヒアリングを進めていく中で、部門や職務内容ごとに育休の取得しやすさに差があることが分かってきました。そこで、全社的に育休を取りやすい風土の醸成と意識の統一を図ることを重要な課題と位置付け、育休取得者にヒアリングを実施。メリットや実際に感じた課題を語ってもらい、それを社内報などで紹介して「事例の可視化」に取り組んでいます。
宮本さん
働き方の多様化が進み、人口減少による働き手不足が課題となる中で、今まで通りのことをしていても、ミスマッチが増えてくると感じています。社員の声も取り入れながら、まずは試してみて、良ければ制度として取り入れるといった柔軟性を大事にしたいと思います。
当社には、社員からの提案を積極的に受け入れる文化が根付いています。幅広く意見を募る「提案」と、業務改善に関する「改善提案」があり、合わせると毎月30件程度が寄せられています。置き菓子サービスの導入や、お客様にお出しする飲み物を選んでいただけるようにするなどの小規模な改善から、荷物送付時に担当者名を明記するシールの作成、さらに提案と検討を重ねて段階的に進めた業務改善まで、さまざまな取り組みを実現してきました。提案は、社内のクラウドシステムを使って誰でも簡単に申請が可能です。小さな声でも受け止められるように配慮しています。
小林さん
人材育成については、パートも含め全従業員を対象にした「コミュニケーション研修」を実施しています。そのほか、部署の垣根を越えて交流しながら、役職・階級ごとに必要なマインドやスキルを身に付ける「階層別集合研修」や、社外セミナーなども行っています。3年ほど前からは、社員からの提案をきっかけにヨガ研修も始めました。
宮本さん
先ほどから挙げている、時短勤務や有給休暇などの制度を進めるにあたっては、柔軟なシフト体制や分業体制といった業務の効率化が欠かせません。現在は、業務の属人化の解消や、多能工の育成に力をいれています。製造部ではこれまで、切断・切削・研磨など、工程によってそれぞれの係が担当をしていましたが、時間帯によって人手が足りない係をフォローしたり、他の係の業務を習得するための時間を設けたりしながら、係を越えて作業ができるような体制を整えています。社員各々のスキルについては、数値化してクラウド上で管理。各工場の状況を比較して、情報共有を行い、全社的に生産性を高めています。
スキルアップのためにはクラウドマニュアルを活用。動画も多用しつつ、若手社員が取り組みやすいように工夫しています。一方、ベテラン社員の中には、戸惑いを感じる人もいましたが、こちらから一方的に「こういうことをやる」というのではなく、導入時には背景や会社としての意図も含めて丁寧に説明するようにしています。「育成も仕事の一部」という意識付けを行うことで、協力体制を築くことができました。他の係の業務に興味を持つ人が増えて、互いに良い影響になっていると思います。最近、FAXをデジタル化しましたが、それも利便性を理解してもらうことで導入がスムーズに進みました。
今後は、クラウドに蓄積しているデータを活用し、より付加価値の高い作業やニーズのある分野に注力する方針です。AI化も進む中で、人にしかできない作業により集中できるように省人化も進めていきたいと考えています。