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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

子どもがいるいないに関わらず、多様な生き方に合わせた制度を
飯島建設株式会社
1905(明治38)年に創業し、120周年を迎える飯島建設株式会社。「建設業はサービス業である」という理念のもと、建築工事、土木工事、住宅工事を展開しています。総括部長の中川広三さん、設計の戸石和宏さん、管理本部の塚田高大さんにお話を伺いました。
  • 「何も心配せずに育児してこい」という言葉で安心できた

    戸石さん
    当社で男性社員が育休を取得するのは、私が初めてでした。昨年5月に子どもが生まれた直後に1週間と、7月と8月、トータルで2カ月半取得しました。前例がなかったということもあり、一番心配だったのは、自分が休むことで周囲にどれくらい迷惑がかかるのか、ということです。また、会社から影響はないと明言されていたものの、今後のキャリアや復帰後の仕事についても不安はありました。そのあたりは、上司とよく話して解消しました。特に直属の上司からの「全面的にバックアップするから、何も心配せず育児してこい」という言葉は、心強かったです。
    何か疑問があったり、書類を用意してもらったりするときに、迅速に対応していただけたのも良かったです。後回しにされると、面倒をかけているのかな…とネガティブに捉えていたかもしれません。育休の間は、家族とじっくり向きあって、あらためて捉え直す時間になりました。私は住宅設計を担当していることもあり、育休を取得したことは仕事の上でも良い影響があったと思います。

    今後は育休の取得を希望する人が増えていくと思いますが、私が気になるのはやはりフォロー体制です。私自身は「ありがとう」という言葉で伝えるくらいしかできなかったので、インセンティブなど何かあればと思うのですが…。あと、男性の育休取得が珍しくない世の中になりつつあるとはいえ、お父さんは頑張っていてもまだまだ孤立しがちです。お母さんのような横のつながりができるように、同じ子育て世代が情報を共有できる場が増えていけばいいですね。

    設計の戸石和宏さん
  • 休んでいる間、どうフォローするかは大きな問題

    中川さん
    「育休を取る人を100%バックアップしたい!」という思いはあるし、会社としても制度を整えつつあります。しかし、何万人と働いているような大企業ではないので、いつでもフォローができるような人員がいるわけではありません。端的に言えば、10人いる部署で1人休むのと、3人しかいない部署で1人休むのでは、異なる対応をせざるを得ないですよね。それでも、育児休業を取ることに対して、上司や同僚が不満を感じるようでは、安心して休むことができなくなってしまうので、それは避けたい。今回は、育休を取得する期間を話し合い、業務をすべて個人が引き継ぐのではなく、システムの導入や外注なども含めて調整しました。今後、男女問わず育休を取得する人が出てきたときにスムーズにいくように、先を見据えて最適な方法を模索しましたが、「正解」は出ません。今はどちらかというと、育休を取得してもキャリアアップできるということがクローズアップされがちですが、安心して休めるようにフォローした社員にも光を当てられるようにしていければいいと思います。

    私たちが手がけている住宅をはじめとする建築物は、人が集まる場所です。そういう意味でも、人がいないと始まらない。人を大事にして、どんな人でも働きやすい環境をつくるということは、育休取得もそうですが、単身の人、結婚して子どもがいない人、子育てがひと段落した人など、多様な生き方に合わせた制度を整えていくことだと思っています。地方の中小企業にとっては難題ですが、それが企業価値を高めることにもつながっていくと考えています。

    総括部長の中川広三さん

男性の育児休業取得推進ポイント

当社では、2022年10月の法改正から体制を整え始め、社内にもその旨を周知してきました。当社の男女比は8:2で、20~30代の男性社員も多い。前例によって、若手社員がこの先の働き方をイメージできるようにすることは、会社にとってプラスになると考えています。
「働きやすい会社」には多様な切り口があります。当社では、健康経営の推進に力を入れており、育児・介護休業の利用促進や子育てのための休暇制度、短時間勤務制度など制度面で後押ししていますが、なかなか一気に進めるのは難しいと感じています。さまざまなピースを少しずつ積み上げて、2、3年後に良くなっていることを目指していければと思っています。(塚田さん)