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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

若手職員の成長は、施設内外の交流が鍵
社会福祉法人中信社会福祉協会
社会福祉法人中信社会福祉協会は、松本市内に障がい者の入所施設4カ所、グループホーム8カ所、通所事業所6カ所と、障がい者相談支援センターを運営しています。常務理事で本部本部長の滝澤武夫さんと、総務課主任の務台利恵さんにお話を伺いました。
  • 職員の目線で考える“働きやすさ”

    滝澤さん
    当法人は1977(昭和52)年設立。長年かけて、地域と関係を築いてきました。入所している方が地域の行事に参加したり、逆に地域の皆さんに施設に来ていただいたりしています。梓川中学校の生徒たちは定期的に訪問してくれていて、歌を披露してもらうだけではなく、こちらから車椅子の操作を教えるなど、相互交流を図っています。今、働いている職員の中には、中学生の時に訪れたことがきっかけで、就職したという人もいます。
    最近は、支援補助として地域の方に入っていただくことも増えました。70代、80代の方も多くいて、皆さんとても仕事が丁寧です。若手職員にとっては、そういう働く姿勢を間近で見られることが、良い刺激にもなっています。

    務台さん
    職員のワークライフバランスを重視し、有給休暇のほか、育児や介護休業など、希望した休みが取れるような仕組みや制度を整えています。早番・遅番・夜勤というシフト勤務になる入所施設をはじめ各施設で、まず前月に希望休等を出してもらい、それを元にして勤務表を作成します。以前は勤務表が出た後に、都合が悪いと各自で勤務交代などをしていましたが、職員の目線で考えて、「出られない日」だけではなく「この勤務なら勤められます」というところまでを出してもらうような仕組みにしました。シフトを調整する側は大変ですが、各々のライフスタイルをできるだけ尊重したいと考えています。また、積極的に希望を出す人もいれば、あまり言わない人、特にないという人もいるので、偏りや不公平感が出ないように意識しています。

    常務理事で本部本部長の滝澤武夫さん(左)と総務課主任の務台利恵さん
  • 立場も世代も超えてつながることで生まれる一体感

    滝澤さん
    現在働いている若手職員には、専門的な知識や経験があまりない状態で入職したという人も多いので、自信ややりがいを感じながら成長してもらえるように、キャリアパスの構築を進めています。これまでもありましたが、より実態に即したものにしたいと、検討しているところです。仕事を通じて学び、成長していくイメージを描くことができれば、日々の業務にも意欲的に取り組めるはず。若手のやる気に刺激を受けて、先輩職員も手本となれるように頑張ってほしいです。そうすれば、その姿を見た若手が追い付けるようにまた頑張る、というような好循環が生まれるのではないでしょうか。
    昨年、市の調査が入り、職員が不適切な対応をしていたことが確認されました。当法人では重く受け止め、その職員には然るべき対応を取りましたが、これを個人的な問題とせず、誰にでも起こりうることと捉えて再発防止のための研修を行っています。正規職員だけではなく、非常勤やパート職員も参加できるようにして、同じ施設で働く人たちが皆、共通認識を持てるように努めています。

    務台さん
    若手職員と接していて感じるのは、「何かあったら言ってね」という声かけだけでは、コミュニケーションは深まらないということです。チューター制の導入や、あえてテーマを設けず話せるミーティングの実施など、工夫はしていますが、一番大事なのは、こちらからどんどん話しかけることだと思います。私自身も、こまめに各施設に顔を出して覚えてもらうように心がけています。
    当法人では2023年にインスタグラムを始めました。順次、各施設でもアカウントを開設。当初は人材確保のため、若い世代への情報発信が目的でしたが、実際に運用してみると、職員にとっても自分が働いている以外の施設の様子を知るツールになっています。考えてみれば、これまで施設長が集まる会議はあっても、全ての施設の職員が一堂に会する機会はなく、「横のつながり」が希薄だったのかもしれません。施設の枠を超えたコミュニケーションに思わぬ形でインスタグラムが一役買っています。「横のつながり」を強くして、「縦のつながり」にも展開することで、風通しの良い環境を整えていきたいです。