中島さん
当社で男性の育児休業取得の推進に力を入れ始めたのは、2022年の法改正がきっかけです。子どもが3歳に達する日まで回数の制限を設けずに育児休業を取得できるようにしたり、失効した年次有給休暇を積み立てて有事の際に使用できる制度では、「3歳までの子の育児」を取得条件に追加したりと、これまでの制度を拡充しました。また、経済的支援を目的として正社員を対象に第1子に5万円、第2子に10万円、第3子以降は25万円を支給する「キッズ応援金」について、産後パパ育休を合計14日以上取得した社員には、追加で5万円を支給するようにしました。今年8月からは「ライフサポート休暇」制度も導入。不妊治療や出産前、つわりなど体調がすぐれないときに申請できる休みとして、活用する人も増えてきています。
「男性社員の育児休業(社内独自の育児休業含む)取得率の目標を100%とする」という会社の方針もあり、制度を整えるだけではなく、対面での説明を重視するようになりました。育休取得を希望する社員にはできる限り対面で話す場を設けているほか、管理職を対象にした説明会も開催。一堂に会するのは難しいので、何度かに分けて、少しずつ行っています。人事から各種休業制度の説明をする前に、休業の取得を希望して相談をしてくれる人が増えた実感があります。会社として、育児と仕事の両立を支援しているということが浸透し、「雰囲気の醸成」が進んできているのだと感じています。
廣瀬さん
当社では昨年9月に産後パパ育休を取得した社員を対象にアンケートを実施しました。「人事担当者に説明してもらうことでスムーズに理解ができた」という声が多く、制度の名前は知っていても、詳しいことはきちんと説明しないとなかなか理解は進まないということが分かりました。これまでも、社内向けの広報誌で育児休業に関する特集を組み、「女性」「男性」「管理職」といったそれぞれの立場から、制度や取得までのフローなどを紹介したり、社員向けポータルサイトで制度の説明を掲載したりはしていましたが、文字情報だけだと具体的なイメージにはつながっていないのかも知れません。今後は工夫して、より伝わりやすい情報発信に努めていきたいと思っています。
青沼さん
私が育児休業を取得したのは、第2子が生まれた後、2023年の年明けから約1カ月です。ちょうど産後パパ育休制度がスタートしたときでした。第1子が生まれたときは、社内の育児休業制度と有給休暇を合わせて1カ月ほど休みました。子どもが小さいうちは何かと体調を崩すことも多いので、有休が減っていくと不安な気持ちもありますよね。今回は、育休を取得できて良かったと思います。
仕事の引き継ぎは、産後パパ育休に入る半年ほど前に相談し、準備を進めていきました。所属しているグループでは、数年前から業務効率化の一環として属人化を避け、1つの案件につき少なくとも2人が担当する形にシフトしていたので、復帰の時も比較的スムーズでした。
産後パパ育休を取得したことで、同僚にいろいろと聞かれることもあり、希望する人が増えてきていると感じています。育休と言っても、どのように休みたいかというのは人それぞれ。私の場合はできる範囲で仕事もしつつ、育児もしたいと考えていたので、概ね希望通りに過ごせました。コロナ禍を機に、リモートワークの環境が整うなど、より柔軟な働き方が可能になってきているので、各々が希望する「育休の取り方」が、なるべく叶うようになっていくといいですね。