中谷さん
2020年の夏、第1子が生まれたときに1カ月半ほど育休を取得しました。男性の育休取得について耳にする機会が増えてきたのと、コロナ禍で出産前後は誰も立ち会えない状態だったので、妻の不安や負担をなるべく減らしたいという思いがありました。当社では、男性社員で育休を取ったのは私が初めて。前例がなかったので、不安な気持ちも少しはありましたが、上司に相談するとスムーズに受け入れてもらいました。
実際に取得して感じたのは、子育ては普通の仕事とは別次元だということ。全く違う大変さがありました。今回、インタビューされると妻に伝えると、「産後の体を労わったり、ケアしたりする余裕を持てた」と当時を振り返ってくれたので、安心しました(笑)。
当社の場合、営業はお客様と1対1の関係が多いので、引き継ぎの際の情報共有は少し苦労しました。ちゃんと引き継いだつもりでも、後から聞きたいことや確認したいことが出てくるものなので、休んでいる間も臨機応変に、連絡が取れるようにはしていました。仕事は官公庁が9割を占めるので、育休を取ること自体に理解を示してくれるお客様が多かったです。また、同業者間で話をする中で、「アンドーは育休を取れる」というイメージが広がったみたいで、それも良かったと思います。
昨年秋には第2子が生まれ、2度目の育休を取得しました。子どもと一緒に過ごせること、家事などを夫婦で分担できることなど、育休取得のメリットはさまざまですが、私にとっては、家族の状況を共有できることに大きな意味があるとあらためて感じました。
坪井社長
育休に関しては、制度を整えることで定着させていこうと考えていて、取得率の目標を立てたり、個別に声がけをしたりはしていません。それでも育休を取得する男性社員が増えていることは、休みを取ることに対して権利があるということ、いろいろと活用できる制度があるということを理解している社員がもともと多いのかもしれませんね。
取得推進に向けて鍵になるのは、周囲の理解です。会社としては、育休取得者のフォローを担当する社員に対して賞与評価時に、インセンティブを付与しています。育休取得は国が推進しているし、会社も推進している。そういうことが徐々に周知されていけば、自然と育休を取得できるという雰囲気が醸成され、定着につながっていくのだと思います。
個人的な話になりますが、私は若い頃に東京からUターンしたので、妻は周囲に知人もいない中で子育てに孤軍奮闘していました。当時は、男性が育休を取るという発想がなかったような時代だったとはいえ、本当に大変だったと思います。当社には、Iターンで入社する人も多いですし、地元出身でも両親と同居していない人もいます。さまざまな状況がある中で、「子育てをしたい」という社員の希望に応えられるような環境を整えていきたいです。