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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

育休取得者が“自分の言葉”で情報発信
株式会社ヤッホーブルーイング
「よなよなエール」をはじめ、個性的でバラエティ豊かなクラフトビールを展開する株式会社ヤッホーブルーイング。屋外ビールイベント「よなよなエールの超宴」の開催や飲み過ぎを防ぐ「ゆっくりビアグラス」の開発のほか、フラットな組織の実現を目指して「ニックネーム制」、「ディレクター立候補制度」などユニークな取り組みも行っています。
ヤッホー盛り上げ隊(人事総務ユニット)の染野愛実さん(ニックネーム:おそめ)と、あんかけ(法人受注ユニット)の齋藤優人さん(ニックネーム:ファーラー)にお話を伺いました。
  • 何でも話せるような雰囲気と業務のサポート体制が、育休取得をスムーズに

    染野愛実さん(おそめ)
    当社において男性の育休取得の原点は、さかのぼること2008(平成20)年。社長の井手が就任前に、子どもが生まれるにあたって育児のために5日間、年次有給休暇を活用しました。これが「育児のために休みを取ってもいい」という考え方の出発点になっていると思います。その翌年、男性社員が初めて育休を取得。当時の男性育児休業取得率は1.72%(2009年度厚生労働省雇用均等基本調査)で、まだ珍しい時代でした。それからしばらく間が空きましたが、2018(平成30)年からはコンスタントに取得者がいます。会社としては、対象者に制度の説明をしっかりして、最終的には本人の判断に任せるというスタンスです。管理職に向けては説明会を開き、「育児休業は職場の業務を見直し、風土を改革するチャンス」という捉え方を広めています。

    日頃から、何かあったときにはすぐに話せるような雰囲気をつくりたいと、当社では社員同士のコミュニケーションを大事にしています。また、業務はなるべくチームで取り組み、誰かが休んでも他の人がサポートできる体制づくりを進めています。その結果、社員も「休みたいときにはちゃんと休める会社」という認識をしているのではないでしょうか。年次有給休暇の平均取得率は90%以上ということもあり、育休取得についてもその延長線上として、「取りたい人はちゃんと取れる」という状態になってきていると思います。

    ヤッホー盛り上げ隊(人事総務ユニット)の染野愛実さん(おそめ)
  • 「育児も立派な仕事」、育児への理解が進むことで生まれる好循環

    齋藤優人さん(ファーラー)
    私は2022年に子どもが生まれて、産後パパ育休と育休2回、計3回取得しました。子どもが生まれたらそれこそ授乳以外は何でもしたいと思っていたので、自然な流れでしたね。私が所属するユニットはその頃、結婚や出産などのライフイベントを迎える社員が多く、子どもができたと言ったら「育休取るの?」「こういう準備をしておくといいよ!」と皆が声をかけてくれました。比較的、定常業務が多いこと、また普段から業務標準化を意識していたこともあり、ユニット内でサポートできる仕組みが整っていたのも、良かったと思います。上司は「育児も立派な仕事だよ」と言ってくれて、休んでいる間は本当に育児に専念できました。

    当社では、育休に入る前や復帰後に、積極的に情報発信してくれる人が男女問わず多いです。そのおかげで「育休ってこういう感じなんだ」と事前に知ることができました。私も関係する部署などには、「これくらい休む予定です」と事前に連絡し、復帰後は育休中の様子も含めてメールで報告しました。そうすると、「子どもの写真、見せて!」と言ってくれる人や、育休について尋ねてくる人もいて、コミュニケーションが広がりました。社内でも「子育て中」だということが自然と認識されて、例えば急に保育園から連絡があって子どもを迎えに行かなければならないことがあってもスムーズに動けましたね。部署を越えて、同じくらいの子どもがいるスタッフ同士で情報交換もできる。子育てに対する理解者が周りにたくさんいることは、本当に心強いです。

    あんかけ(法人受注ユニット)の齋藤優人さん(ファーラー)

男性の育児休業取得推進ポイント

私が育休を取得したときも、先輩の言葉が支えになりました。育児に関する情報は世の中にあふれていて、取捨選択も大変ですが、一緒に働く人たちの言葉はリアル。育休取得の後押しになるだけではなく、取得中や復帰後にも寄り添ってくれます。男女それぞれの目線を知ることでパートナーへの配慮にもつながりますし、子育てをしていない人にとっても、育児に対する理解を深めるきっかけになると思います。(染野さん)

一番は、育休を取りたいと思った人の声がちゃんと届くようにしておくこと。言いやすい雰囲気があればいいですが、そうでなければ、仕組みとして整えておく必要があると思います。本人の「取りたい」気持ちをキャッチすることが最初の一歩で、そこを手厚く支援することで先行事例が生まれます。その事例から、事実や実際の体験談を共有することで、育休が少しずつ身近な存在となって、2人、3人と後に続く人が出てくるのではないでしょうか。(齋藤さん)