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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

“人的余力”がワークライフバランスの向上と人材育成の鍵に
株式会社竹内製作所
株式会社竹内製作所は、1963(昭和38)年創業の小型建設機械メーカー。小規模な工事現場で活躍するミニショベルや油圧ショベルなどを主力製品として、世界各地に販売チャネルを構築しています。人事部の山本覚部長と、西村茂仁香さんにお話を伺いました。
  • 社員が業務改善について考えたり、研修で学んだりできる環境を整える

    山本部長
    労働時間削減に向けた取り組みは、2012(平成24)年頃から始めました。削減のためには、単に減らすように言うだけではなく、その支援策となるような業務改善が必要。ペーパーレス化や設備投資など、作業効率を上げるための工夫を行っています。当社では20年以上前から「改善提案制度」があり、それを2017(平成29)年頃、さらに強化しました。社員がアイデアを提案すると500円が支払われ、採用されて、実行されれば報酬額が増える仕組みです。提案は個人だけでなく、部署内外でチームを組んでもOKで、現在は年間で1000件ほどあります。検証した上で実践したものも数多くあり、製造現場での作業効率化や安全性向上、ひいては社員が安心して働けるような環境づくりにつながっています。毎年、優秀なアイデアには社長賞も授与されます。
    当社では中期経営計画の中で、人的資本への投資として、「人的余力」を持つことが方針として挙げられています。ギリギリの人員体制で業務を行うと負担は大きくなります。人員体制に余裕を持つことで、時間やメンタル面での余裕が生まれ、有給休暇や育児休業の取得、先ほど紹介した改善提案、研修受講・自己啓発等の推進へ自然とつなげることが出来ます。

    西村さん
    以前は英会話研修も外国人の先生にお願いして対面で行っていましたが、現在はスマートフォンで英語学習が手軽にできるアプリを活用して、希望者には費用の7割以上を補助しています。そのほか、理学療法士を招いて腰痛対策の講座も開いています。社員は、キャリアアップを目指す人、健康で長く働くためのセーフティーネットを求める人など、重視するものはさまざまです。何か一つではなく、バランスを取りながら環境や仕組みを整えています。

    人事部の山本覚部長(左)と西村茂仁香さん
  • 役員の声かけ&取得者の笑顔で、男性育休取得率がアップ

    山本部長
    当社は2015(平成27)年、「職場いきいきアドバンスカンパニー」の認定制度がスタートした年に申請し、認証されました。認証のために何かを始めたわけではなく、既に行っていた取り組みが認められた形です。ほかにもいくつかの認定を受けていて、例えば「健康経営優良法人」は経済産業省、「くるみん」は厚生労働省と管轄は違いますが、ベクトルは同じ。働きやすさを考えたときに、求められることは普遍的なのだと感じています。
    実は当社には、社長室や役員室はありません。皆、同じフロアに席があり、経営陣が社員と近い距離でコミュニケーションを取れていて、フラットな組織文化が根付いています。多様な働き方についても、その根底の考え方については経営陣と社員が共有できている。それが推進力になっていると思います。ここ数年で、男性の育児休業取得率が大きく伸びていますが、これも上司や役員が率先して声をかけている成果ではないでしょうか。「人的余力」があれば、事前に準備をして仕事を引き継ぐこともできるので、休む方も安心できるし、部署内の不安も減らせます。現在は2カ月ほど休む社員が多いですが、久しぶりに出社して「子どもは本当にかわいい。子育て最高!」なんて言っていますから(笑)。そういう声を聞けば、自然と育児休業を取ろうと思う人は増えますよね。

    西村さん
    ほかにも、配偶者の出産にまつわる特別休暇制度も設けていて、出産の立ち合いや退院に合わせて取得できるようにしています。育児休業後の時短勤務は、子どもが小学校就学の年の5月末まで可能に。勤務時間も一人ひとりの事情を聞きながら、可能な範囲で調整するようにしています。私自身も、将来のことを考えたら安心感を覚えるので、一人ひとりの社員にとってもそう感じられるようにしていければと思います。