目を引くお城の建物は、創業者が「この地の主と言えるような、地域を代表する企業になる」という思いを込めて作ったものです。創業は、高度成長期の最中である1967(昭和42)年。以降、土産惣菜業界のリーディングカンパニーとして成長を続けてきました。その一方で他社と比較したり、きちんとした制度を整えたりすることのないまま、進んできてしまった部分もあったのかもしれません。以前は、社員=この土地の人、という認識でしたが、ここ数年でたまたまUIJターンで入社した人が増えました。それをきっかけに、これまであまり意識してこなかった制度面についても見つめ直そうと、一歩踏み出したところです。
ここ2、3年でさまざまな取り組みを始めました。正社員登用制度を作ると、さっそく初年度に5人がパートタイマーから社員になりました。家庭の事情などで8時間就労が難しいという声に応えるため、短時間勤務や有休の半休消化も可能にしました。もともと、夏休みや年末年始など観光業の繁忙期は、その前に出荷を終えて、その期間は完全に休業するような「働くときは皆で働く、休むときは皆で休む」という会社です。有給休暇も気兼ねなく取得できる雰囲気があるので、そういう社風を大切にしながら、一人一人の働きやすさについて考えていきたいです。
これまで、部署の中で班を変わることはあっても、製造から営業、あるいはその逆といった他部署間の異動はありませんでした。営業職以外は、仕事で外に出ることもなく、交流の機会もほとんどない状態です。そこで、視野を広げるきっかけになればと、外部研修への参加や、食生活アドバイザーや食品表示検定などの資格取得への支援を始めました。日頃から食品に興味関心を持つことで、自分が携わっている商品への愛着が深まればいいですね。実際に、特に若手社員が頑張って学んでくれています。
当社は、平均勤続年数が長く、それは働きやすい職場の一つの指標でもあると思っています。ただ採用については、補充という形が多く、定期的には行っていませんでした。入社した人が、3年、5年、10年と自分の成長と会社の成長を重ねていけるようにしていきたいですし、もう少し、新陳代謝を高めたいと考えています。今後は、制度を見直すだけではなく、新しい製造機材の導入や、アフターコロナを見据えたインフラ整備もしていきたいです。良いと思ったことはまずやってみよう、という姿勢で、社員と共に時代に合わせた組織づくりを進めていければと思っています。