松村さん
私たちが託児所を開設したのは、2007(平成19)年でした。立ち上げから働いていた3人の女性職員が結婚・出産ということになって1年間の産休・育休を取得したのですが、なかなかそれで復職という訳にはいかなくて。「働きたいけど、子どもの面倒も見なければいけない。託児所を作ってほしい」という要望を受けて、準備を始めました。ちょうど、介護付有料老人ホームを建設しているときで、急遽、1階の一部を託児スペースに変更することで実現しました。
久保田さん
その後は、育児短時間正社員制度、看護・介護休業制度、短時間正社員制度と順々に整えて、2016(平成28)年には、3歳までの保育園料を全額補助することにしました。介護という業種は、もともと女性が多いこともあるので、「女性の働きやすさ」を意識せざるを得ません。やはり、それなりのメリットを感じてもらえないと、「ここで働きたい」と思ってはもらえないですよね。できれば、女性だけではなく男性も、子育てに対する意識を高めてもらえるような職場でありたいと考えています。
久保田さん
当社では、「正社員」「短時間正社員」「非正規正社員」と、職員の生活に合わせて、その時々に選べるようにしています。これは子育てだけではなく、介護や、自身が病気になったときなどにも、ある程度時間に制限を設けず働けるように作った仕組みです。ほかにも、届け出制や承認制にして残業を減らしたり、介護福祉士の資格取得の費用を全額補助したり、勤続5年、10年、15年、20年と節目で休暇と一時金を出したりするなど、労働環境の改善やスキルアップ・キャリアアップ支援もしています。そして制度を遠慮せずに使ってもらえるように、余裕を持たせた人員配置も心掛けています。
この仕事は夜勤がハードだと言われています。子育て世代にとって夜勤は難しいので、どうしても入れる人が偏ってしまいます。年齢構成や男女比のバランスを取ることで、よりシフトも組みやすく融通も利くようになると思っていますが、これは今後の課題ですね。
松村さん
今は、職員からの要望はあまり聞かないよね?…ということは、より安心して長く働けるような環境になってきているのではないでしょうか。
ファミリーフレンドリー企業表彰・長野県労働局長賞(平成22年度)や第8回ワーク・ライフ・バランス大賞奨励賞など、数多くの賞をいただきました。これは、私が決めたことではなく、職員の声からさまざまな制度や取り組みが生まれたということを、評価していただいたのだろうと思っています。