
産後パパ育休が創設された2022年頃から、当社でも男性育休の取得を推進する取り組みを本格的に始めました。現在は約150人が働いており、そのうちおよそ8割が外国籍のスタッフです。日本に来て結婚して、家族を持つという方が増えてきたこともあり、まずは制度について正しく理解してもらうことが大切だと考えました。そこで入社時のオリエンテーションで制度内容を説明し、法改正や変更があった場合にはその都度、通知を出すようにしています。説明する私たち自身が、英語に訳す前に制度の詳細をきちんと理解する必要があり、最初のうちはその点で苦労もありましたが、少しずつ仕組みを整え、昨年と今年は1人ずつ、育休を取得しています。
一方で、育休中の代替要員の確保については、大きな課題だと感じています。特に、小中学校に派遣しているALT(外国語指導助手)の場合、休んでいる間は誰かが授業を担当しなければなりません。短期間だけ勤務する人材を確保できればいいのですが、それはなかなか難しく、現状では講師のトレーニングを担当しているスタッフが代わりに派遣先に入るケースが多いです。派遣先の学校の理解と協力を得ることで対応できていますが、より良い体制を整えられるように模索しているところです。
講師の夏期研修(2025年8月)今はちょうど、ALTとして小学校へ派遣しているアーロンが、第2子の誕生に合わせて育休を取得しています。彼は、1年ごとに契約更新をしているという事情もあって、「長期の休みが契約に響くかもしれない」「自分がいない間、授業は大丈夫だろうか」と取得前は不安に思っていたようです。しかし、周りのスタッフのフォローもあり、育休中は安心して家族と向き合うことができているとのこと。事前の引き継ぎについては、同僚と話し合って教材やアクティビティを用意し、児童への影響がでないような配慮を行い、復帰の際は情報共有を徹底することで、スムーズに戻れるように準備をしています。
育休制度をはじめ、福利厚生を充実させることは、採用面でも影響があると感じています。海外から日本、しかも長野県を選んで来てもらうためには、「ここの会社なら安心して働ける」と思ってもらわないといけないですよね。
当社では外国人材の採用・受入支援、定着支援のほか、人事研修や異文化理解研修も提供しています。さまざまな国籍のスタッフが働く環境で、どのように制度を整えていけばいいのか。今、社内で試行錯誤している経験は今後、企業のサポートにもきっと生かされるはずです。一筋縄ではいかないことも多いですが、これからも取り組みを進めていきたいです。
長男と一緒に過ごす育休中のアーロンさん