中村さん
私は2年ほど前にIターンで中途入社しました。前職の経験を“外からの視点”として活かしながら、既存の制度の拡充や見直しに尽力しています。当社はもともと、制度自体は整っていたと思います。課題だと感じたのは、周知にあまり力をいれていなかったこと。そのため、せっかく制度があるのに、十分に活用されていない状態でした。そこで、男性の育児休業取得については、実際に取得した社員の事例として、どのくらいの期間を取ったのか、仕事はどうやって引き継いだのかなど、リアルな情報を社内に発信して共有するようにしました。
私自身も1カ月半ほど育休を取得しました。最近では半年間取ったという社員もいて、ある程度まとまった期間取得するという人も出てきました。制度の内容を知り、自分自身が使うイメージを持てる社員が増えたことが、「育休を取得しやすい雰囲気」の醸成につながっているのではないでしょうか。
阿部さん
時短勤務などは以前から、法定の範囲を超えて、柔軟な内容で対応していました。ただ、世の中の流れとしてさらに働き方改革が進む中で、ちょうど中村が入社したタイミングも重なり、制度の拡充に向けた取り組みを強化しました。
育児関連では子どもの看護等休暇を有給化し、時短勤務・時差出勤は対象を小学校3年生から中学入学まで延ばしました。配偶者出産休暇も、3日間の有給休暇に変更。男性の育児休暇や育児目的休暇の取得率も徐々に上がってきていて、昨年度から今年度は100%になっています。
介護休暇のほか、本人結婚休暇、子女結婚休暇、消防団休暇といった多彩な特別休暇制度も設けています。副業については規定があいまいだったので、具体的な申請方法や基準を明確化しました。それにより、正式に申請する人が増加。会社として把握できるようになったのは大きなメリットだと思います。
中村さん
今後の課題として挙げているのは、女性の活躍推進と障がい者雇用です。加えて、若手育成に力を入れていることもあり、奨学金の返還について負担軽減ができるよう、支援ができればと考えています。
一昔前までは、「8時間働けて、残業もバリバリできて、育児も介護もしない」という人がたくさんいましたよね。でもこの先、そういう人はほぼいなくなるでしょうし、企業として社員にそれを期待することはできません。だからこそ私たちが目指すのは、“事情があっても働き続けられる会社”。それぞれのライフステージに合わせて、制度や職場環境を柔軟に変えていくことが求められていると感じています。
阿部さん
女性社員の育児休業取得率、職場復帰率ともに100%ですが、管理職への登用はあまり進んでいません。まだまだ「私には無理」「管理職は大変そう」と感じている女性社員が多いようです。そうではないことを少しずつ理解してもらい、「やってみたい」という意欲を持って、会社づくりに参画してくれる人を増やしていければと思っています。障がい者雇用についても昨年から連携を始めた地域の支援団体と協力しながら、少しずつ形を整えているところです。
ここ数年は県外からの移住者を積極的に採用しています。移住者は「縁もゆかりもないけれど、ここで働きたい」という覚悟とパワーを持っていて、それが会社にも良い刺激を与えてくれています。総務部内でいえば、中村がメンバーに加わったことで、話し合って互いに意見を求める機会が増えました。長く会社にいると、どうしてもその中で自然と「当たり前」という感覚が出来上がってしまいます。最近は、“外からの視点”を意識することで良い効果が生まれています。
私たちもまだ模索の最中ですが、安心して働くことができる環境づくりや、「こういう制度があって良かった」と思ってもらえるような取り組みを、これからも積み重ねていきたいと思っています。