企業・事業主の方

多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

休みを取りやすい環境と、仕事をきちんと評価する仕組みを整える
石田建設株式会社
石田建設株式会社は1919(大正8)年、左官業から始まりました。長年、公共事業・工事に携わり培った技術と経験を活かし、大型工事から注文住宅まで幅広く対応しています。総務部長の福島徹也さんにお話を伺いました。
  • 制度だけではなく、社員の意識を変えることも必要

    建設業では、働き方改革の推進が重要課題とされ、業界全体で労働環境の改善に向けた取り組みが進められています。私たちの仕事は、天候やお客様の都合など、さまざまな影響でスケジュールが変わることも多く、休みを取りたくても計画的に取得するのは難しいんですよね。ただ、手は打たないといけないということで、1年ほど前に勤怠管理をデジタル化し、分単位で記録できるようにしました。導入当初は、慣れなくて使いづらいという社員もいましたが、運用を続ける中で徐々に改善され、休暇を計画的に取得できる流れができつつあります。
    育児休業についても、社内規定を整備しました。現在、育休を取得している社員もいますし、2人の子どもを育てながら復帰した社員もいます。男性社員の育休取得実績もあり、男女問わず育休を取得しやすくなってきていると思います。

    休みを取りやすくする一方で、休んだ人の代わりをどうするかという課題は依然としてあります。業界全体の流れもあり、大手企業は一歩先を行っていますが、地方で、私たちのような規模の企業がどれだけ対応できるかは正直、試行錯誤の最中です。バックアップできるような体制が必要だとは思いますが、社員でも、勤務年数が長く、自身で管理がしっかりできている人であればあるほど「自分でやった方が早い」「他の人に任せるのは面倒」と感じてしまうもの。特に現場はなかなか分業しづらいですが、制度だけではなく社員の意識も変えていくことで、環境の整備を進めていきたいと考えています。

    総務部長の福島徹也さん
  • 若手社員の個々の特性を見極めて、成長をサポート

    若手育成のためには、人材育成方針や研修体系図・計画を策定し、資格取得補助制度も設けています。ただ、どうしても現場が優先されてしまうので、状況によっては後回しになりがち。特に中間管理職向けのマネジメント研修などは、「現場の仕事に直結しない」という理由で敬遠される傾向があります。今はもう、「背中を見て学ぶ」という時代ではないので、若手が成長できるような環境を、社員皆でつくっていかなければなりません。年に2回は上長と面談をして、こちらの方針を伝え、社員の思いや考えを聞き、方向性や課題を共有する機会もつくっています。
    若手社員の中には、あまり自己主張をしない、控えめな人もいます。だからといって、仕事に対して消極的というわけではないし、例えばデジタルツールへの適応は高い。そのような個々の特性を見極めて、それぞれに合った形で成長をサポートしていくことで、互いにとっていい結果が出るのではないかと考えています。業務効率化という点では、これまで紙の図面を使っていた作業も、デジタルデータの共有へと移行しつつあり、仕事の進め方そのものが変わり始めています。今後、そういう場面で存在感を示して、より生産的な働き方を実現していければ理想的ですね。

    ワークライフバランスというと、「ライフ」のほうが注目されがちですが、私は「ワーク」の部分、仕事の楽しさややりがいという面も重視したいと思っています。お客様と直接接する社員であれば、お客様の笑顔、バックオフィスの社員であれば、業務改善による効率化や利益の最大化がモチベーションにつながるはず。自分の仕事が価値を生み出し、それがきちんと評価される仕組みも、一緒に整えていきたいです。