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多様な働き方制度導入企業インタビュー

多様な働き方制度導入企業インタビュー

社長自らが、男性の育児休業取得を先導
株式会社折勝
1953(昭和28)年に創業した折勝。包装資材・厨房用品の専門店「モダンパック」や食品スーパーマーケットの「業務スーパー」のフランチャイズ店舗を展開しています。代表取締役社長の伊東裕介さんにお話を伺いました。
  • 「社長の育休取得は企業文化の醸成のため」と従業員も理解

    私は2代目で、5年ほど前に父から会社を受け継ぎ、気になる点は少しずつ見直しを進めてきました。入社して15年以上は現場で一緒に働いていたので、従業員も皆、話がしやすいのかもしれません。コミュニケーションを図りながら、当社に入る前に別の商社に勤めていた経験も生かして、「何か変だな」という違和感をなくすように努めてきました。その結果が、風土として醸成されてきていると感じています。男性の育児休業については、昨今の流れもあり、制度を整え、どうやって定着させていくかを検討していたところ、たまたまタイミングが合って、私自身が先陣を切って取得してみよう、ということになりました。

    育休を取得したのは、2022(令和4)年7月です。妻が入院する日は決まっていたので、その前日から約2週間、主に入院前後のバックアップと、その時2歳だった次男を保育園に送迎したり、家事をしたりしていました。とはいえ、私も社長としての仕事があるので、次男が保育園にいる間は出社していました。迎えに行く時間は15時半。そこから逆算して、どうしても私がしなければいけないことをスケジュールしていきました。育休明けには大きなプロジェクトが控えていたこともあり、事前の調整が必要でしたが、スタッフは皆、協力的でしたね。「企業文化を醸成するために、社長は育休を取っている」ということを理解してくれていたのではないでしょうか。

    代表取締役社長・伊東裕介さん
  • 子どもが生まれた人に対して、さまざまな形で支援を

    実際に育休を取得して感じたのは、やはり育児は大変だということ。掃除や洗濯など、家事をしていると1日はあっという間に過ぎます。自分1人だったら、コンビニに行けばだいたいのことは間に合いますが、小さい子どもがいるとそうはいきません。自分自身が育休を取得したことで、育児についてリアルな思いを伝えることができるようになりました。また、次に続く人のハードルを下げることもできたと思います。私の後に1人、育児休業を取得した男性社員もいます。当社の規則では日数は特に決まっていないので、相談の上、本人が希望した1週間に加えて、連続しても分割してもいいような休暇を1週間付与しました。会社としても、子どもが生まれた人に対して、さまざまな形で支援をしていきたいですからね。

    今はどの業界でも人手不足と言われていますが、私たちも同様で、従業員は皆、精一杯仕事をしています。そういう中で必要なのは、合理性を追求し、イノベーションを起こしていこうという姿勢。誰かがいないから困る、というのではなく、工夫して乗り越えています。コロナ禍では、いろいろと大変なこともありましたが、互いにフォローし合い、潤滑に回すという好循環が生まれたことは良かったです。そういうこともあり、私が育休を取得するという話をしたときも、社内では特に驚きや戸惑いもなく、普通に受け止めてくれました。今度も、後に続いていく人が自然と増えていけばいいと思っています。

男性の育児休業取得推進ポイント

社長も育休を取ってもいいわけで、そういう判断ができるかどうかだと思います。旧態依然の考え方に固執することなく、ルールは新たに皆で作り上げればいい。それが結果として働きやすい環境に通じていくのではないでしょうか。前々からあるものだからとか、変えると不公平感が出るとか、いろいろと困難なこともあるかもしれませんが、考え方を共有して、理解を促していくことが大切だと思います。(伊東社長)